千代 雪子(ちよ ゆきこ)さん
家族:夫、中学1年長男、小学4年長女

会社名:株式会社フロンティア・エンタープライズ
肩書き:取締役副社長
勤務体制:フレキシブル

娘に「いつも走っているね」と言われる働きぶり

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 言われなければわからないほどだが、今回ご紹介する千代さんは日本人ではない。国籍はアメリカ。21歳まではアメリカに住んでいて、日本についてはあまり知らなかった。

 けれども自身のルーツに日本の血が流れていることを知り、日本に興味を抱いて21歳の時に来日。受験に失敗後、猛勉強の末、翌年には一橋大学に合格したという、集中力と行動力を兼ね備えた知的な女性だ。なのにお会いした印象は、実にざっくばらんで気さくな方だった。

 大学卒業後、大手出版社の海外営業、大手外資コンサルティング会社、証券会社2社を経て、2008年より夫の経営するPR会社、株式会社フロンティア・エンタープライズの副社長を務める。それまでの経歴を活かし、今はPR業務のほか、総務、経理なども担当している。小学生の娘には「いつも走っているね」と言われるとか。

 PRの仕事は、クライアントの商材やサービスを預かり、そのよさを媒体にアピールし、納得してもらうこと。その上で媒体には商品やサービスのよさを広く伝えてもらう。

 具体的な仕事内容としては、新商品発売の際の記者発表会、展覧会、発表会の運営管理など。それらを通じて、商材やサービスの良さを知ってもらう。

 「どんなにいい商品であっても、誰も知らなければ世の中から消えてしまう。もったいないですよね。いい商品・サービスを伝えていき、広く世間に知ってもらうことがこの仕事の醍醐味ですし、誰も知らなかった商品が、世に出て広まっていったときにはとても達成感があります」と語る。

社内会議は、厳しい中にも和気藹々としたオープンな雰囲気でいつも行われる。

 実は、今なら知らない人はいないシューズブランドの「クロックス」も、日本上陸時の初期のPRに関わっていたとか。「これだけ広まると、嬉しいし、とても誇らしいですね」。

 これと思った商品やサービスをもっと知って欲しいという強い気持ちから、どんなに忙しくてもなんとかスケジュールをやりくりして、仕事と子育ての両立をしてきた。「頼れる身寄りはなく、夫も経営者の立場で帰りが遅い。もっぱらベビーシッターさんとの二人三脚でした」と笑う。年々ネット環境も整い、家で作業ができるよう変化してきたことがありがたい。

 千代さんの子どもは、現在中学1年生の男子と小学4年生の女子。

 次のページでは、思春期の入口にたつ子どもとのコミュニケーションのコツを伺う。

2016.11.17(木)
文・撮影=HITOMINA