橋爪千絵(はしづめ ちえ)さん
家族:夫、長男(1歳8カ月)

会社名:日本ロレアル株式会社
肩書き:ロレアル リュクス事業本部 ランコム事業部 エリアリテールマネージャー
勤務体制:フルタイム

自分も人に頼る、そのかわり人に頼られた時には助けてあげる

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 女性が活躍できる職場としてロレアルを選んだという橋爪さん。予想通り、ロレアルは全社員の8割が女性だからこその、働きやすい環境が整っていた。橋爪さんは長年、営業管理・売上分析など、現場の数字の把握や取りまとめをしながらキャリアを積み、現在はエリアマネージャーとして、銀座、千葉、富山、金沢エリアの計12店を担当している。

 橋爪さんにとって、高齢出産となる妊娠は思いがけないことだった。20年近く働きづめだったこともあり、ちょうどいい人生の息抜きだと考えて、子どもが1歳半になるまでしっかりと育休を取得した。住んでいる東京都江東区が保育園の1歳児枠を大幅に増やしたことも、0歳児のうちに保活に走らずにすんだ要因のひとつだ。

 会社は継続してキャリア形成ができるよう社員を後押ししている。復帰後のキャリアが約束されていること、復職後も継続してキャリアアップを視野に入れられること。この二つがあったため、橋爪さんは、十二分に育休をエンジョイすることができた。

 ロレアルでは復帰後、時短制度やフレックス制度も選択できるが、橋爪さんは、18時45分までのフルタイムを選択。保育園のお迎えは初孫誕生に喜ぶ両親に頼み、平日に休みのある夫とのサポート体制も整え、2016年4月に復帰した。

 「復帰にあたって夫婦間で、家事分担など何か取り決めをしましたか?」という問いには「うーん?」と考えて「特にしませんでしたよ」と橋爪さん。

 お互いに自立した関係で、手が空いたほうが家事をするという暗黙の了解ができているからだろう。普段の家事育児は、朝は橋爪さん、夜は夫とおおまかに決まっている。とは言え、どちらも手が離せなかったり、疲れていたりという時もある。そんなときは「気遣い合いつつも押し付け合い、しまいにはジャンケン勝負で、なんとか家事育児をこなしています」と笑う。

 キッチリ決めておくばかりがいいわけではない。時にはジャンケン勝負というのは、どちらかに負担が偏り、言いたいことも言えず不満がたまっていてはできないことだ。

 もともと人に頼るのは嫌いで、自分でなんでもやってしまうタイプだったという橋爪さん。しかし子どもが生まれ、家族、保育園の先生、同僚などたくさんの人に助けられるようになって、考え方が変わってきた。「人に対して優しく接することができるようになりました。自分も人に頼る、そのかわり人に頼られた時には助けてあげればいいじゃないという気持ちが湧き、肩の力が抜けました」。

新製品について美容部員と打ち合わせ中。

 橋爪さんを見ていると、仕事も子育てもマイペースを崩さずにサラリとこなしているような余裕を感じるが、そこには高齢出産ならではのメリットがあったのかもしれない。

「高齢出産が、体力的にきついのは確かです。でも、若い時に比べて自分が精神的に大人になっている分、子育てであまりイライラしないですんでいるような気がします」

 長く若い社員たちに接し、時には諭し、叱咤激励し、時間をかけて育ててきた経験と自信が、子育てを楽にしているのだろうか。

 次のページでは、橋爪さんの日常生活を直撃してみた!

2016.09.07(水)
文・撮影=HITOMINA