渋谷久美(しぶや くみ)さん
家族:夫、長女2歳4カ月

会社名:銀座コージーコーナー
商品開発本部 研究開発担当

売れるケーキより、笑顔になれるケーキを作りたい

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 小さい時からお菓子作りが大好きだった渋谷さん。小学校高学年のころにはすでに家族の誕生日にケーキを焼いていたという。迷うことなく製菓の専門学校から銀座コージーコーナーへ就職し、今年で13年になる。

 社内結婚をして2014年に出産。2015年の5月に育休から復帰、現在時短勤務を続けながら仕事と子育てを両立している。

 職場は、神奈川県の山あいにある工場。その近くの住まいは実家のある小田原に近く、近辺には緑も多い、子育てに良好な環境。車通勤なのでさほど通勤のストレスがない。

 現在渋谷さんは、月に10品目ほど入れ替わる新商品のレシピの考案から工場生産のライン導入までを行う商品開発部門にいて、忙しい日々を送っている。

 「子どもができるまで、商品開発については『どんなお菓子なら売れるだろう』という視点から考えていました。けれども今は『どんなお菓子なら子どもや家族は喜ぶだろう』という気持ちに変わりました」という渋谷さん。商品開発の際のアイデア出しも、より的確になっている。ベテラン社員となり、「製造ラインを想定しつつ開発ができる貴重な人材」と上司からも評価されている。「ケーキを作るのが大好きな女の子」は着実に実力をつけているようだ。

 ルーティンの仕事以外にも昨年は「夢のクリスマスケーキコンテスト」に力をいれた。略して「夢クリ」とは、銀座コージーコーナーで8年前から行っている企画。子どもたちに、自由な発想で「あったらいいな」と思う夢のクリスマスケーキのイラストを描いてもらう。グランプリ受賞者には、イラストに基づいた本物のケーキを作ってプレゼント。さらにクリスマスに「Kid’s Dream Cake」として商品化するという企画だ。渋谷さんは研究開発部門から審査、そして商品化に関わった。

昨年の応募作品。どれも大人にはない発想のものばかり。

 子どもたちの自由な発想に基づくケーキのイラストの応募は年々増え、今年は2016年7月31日の締切までに、全国から15000ほどの応募を見込んでいる。

2015年 Kid's Dream Cake「チョコレートのえんとつからいちごさんたがやってくる!」

 「製造可能なのかという視点よりも、一人一人の絵にかける想いを読み取りながら、じっくりと審査しています」と渋谷さん。ときには子どものやさしい気持ちに感動し、ときには奇想天外な発想にクスリとしながら審査を行い、商品化に取り組む。どんな素材で作るのか、どれだけ最初のイメージに忠実に作ることができるか、課題は大きいがやりがいのある仕事だ。

銀座コージーコーナーの夢のクリスマスケーキコンテスト2016
URL https://xmas.cozycorner.co.jp/2016/

 次ページでは、渋谷さんの時短お助けグッズと、仕事と子育ての両立生活を楽しく過ごすコツをご紹介。

2016.06.20(月)
文・撮影=HITOMINA