市川摩衣子(いちかわ まいこ)さん
家族:夫、長女3歳、実母
会社名:unsarto(アンサルト)
肩書き:ディレクター、ヘア&メイクアップアーティスト
天職である美容師を続けられる道を常に模索
「美容師歴21年。子どもは3歳」の市川さん。とても明るく若々しく、気風のいい姐御肌の女性だ。
小学生のころから美容師になりたいと思い、悩むことなく高校卒業ののち専門学校に入学、19歳で美容師の世界へ。
その後、店を変わったことはあっても、職を変えようと思ったことは一度もなく、21年という月日を重ねてきたというから、まさに天職といっていいだろう。
人生の転機においても「やめるか」ではなく「どうやったら続けられるか」という視点で工夫をし、働き続けてきた。
美容師歴は21年。メイクアップアーティスト歴は15年。
現在は南青山の美容室「unsarto」(アンサルト)で、ヘアセットもメイクもできるヘア&メイクアップアーティストとして働く。店に出るのは週に2、3回。そのほかの日は、ヘアメイクの撮影で仕事時間が早朝から深夜になることもあれば、ロケの撮影では数日出張が続くことも。流行の先端を行く職業であり、ヘア&メイクアップアーティストのプロとしてアンサルトでも貴重な人材だ。
美容師として技術的に限界を感じ、「これ以上自分は上達できないのではないか」と落ち込んだ時期に始めたのがヘアメイク技術の習得だという。
「美容師としての技術を活かしながらほかの技術を習得したことは、今になって思えば自分の価値を上げられて、本当によかった」と語る。
妊娠発覚後、すぐ保活
30代になって結婚して妊娠したときに、市川さんはすぐに保活を始めた。
まずは、それまで住んでいた目黒区から、夫婦ふたりの母が住む千葉県に引っ越し。産後は45日しか休まずに、一時預かりと母たちのヘルプで仕事に復帰。産後60日目からは子どもを週2回無認可保育園に預け、ほかの日は夫、義母、実母、実の妹のヘルプで乗り切る。保育園は、日曜・祝日や時間外の預かりが可能な園を選択。それも都心ではなかったからこそできたことかもしれない。
千葉県に引っ越すことで、通勤時間は往復で2時間ほどと増えはしたが、ヘルプの手が増え、子どもにとっての環境も良くなった。
会社側も、市川さんがそこまで頑張るなら、と応援体制を整えてくれた。
産後半年目からは、月に20日預けられるようになり、その後、通っていた無認可保育園が認可保育園となったことで、さらに仕事のできる日数が増えた。
保活は大変だが、必ず道はある。そして細い道でも必ず広がる。市川さんは「運が良かった」というが、自ら動かなければ道も開けないだろう。
ママ向けサービスの充実を図る
そのころ、unsartoの客層にママが増えてきたため、ママ用サービスを充実させることに。ヘアだけではなく、ネイルやメイク、マッサージなどをサービスとして取り入れたり、毎週水曜はキッズルームを作ったり、ママたちが来やすい美容室となるよう、工夫を重ねた。
現在は、月に一度現役の幼稚園の先生に来てもらい、子どもたちがキッズルームで工作できる日を設けている。また、顧客であるママが講師となってイベントを企画するなど、お店も、お客も、双方にとってうれしいアイデアが次々と生まれている。もちろん市川さんを始め、子育てママたちの意見が反映されていることは言うまでもない。
次ページでは市川さんの両立術をご紹介!
2016.07.28(木)
文・撮影=HITOMINA