おしつけない、期待しない、ちょっと我慢する
現在市川さんは、夫・義母・実母・実の妹と連携をとりつつ子育て中だ。
「ママとかおばあちゃんとか、だれか一人だけに負担を強いていたら、絶対にいつか破綻します。周りの大人みんなが少しずつ負担をしあわないと」という。
周りの大人同士の暗黙のルールは「おしつけない、期待しない、ちょっと我慢する」。
片付けはそれほど完璧にしないという市川さんだが、不潔はNG。
「水回りやゴミは特に気をつけて、その日の汚れはその日のうちにとるようにしています。『汚いよ』とほかの人に言わずに『汚い』と思った人がきれいにするのが我が家のルールです」
うらやましいようなチームの連携プレイだが、多くのヘルプを期待できない読者はここからどんなメッセージを受け取ればよいだろう。
「『常識』とか、『こうするべき』とか、『みんながこうしている』などは完全無視することがおすすめですよ(笑)。家庭によって状況は違うので、自分自身の3メートル以内くらいのことをよーく見据えて、判断していけばいいのでは。大切なのは、子どもにとってよいことは何か、ママが楽をできることは何かで、それを考えると自ずと答えは出てくるはず」とニコリ。
右:ママお手製のバッグは娘のお気に入りに。
さて、今、市川さんの家で愛用しているのは布団用掃除機のレイコップだ。アレルギー気味の娘のために、布団のホコリを除去する目的で購入。「レイコップで布団を掃除すると、とてもきれいになる。すごくすっきりして気持ちがいいですよ」。
また、夜に体力が残っていればミシンで小物をつくるのがお楽しみ。カタカタと静かに集中してミシンかけをすれば、気分もすっきり。慌ただしい毎日の中で無心になれる貴重な時間だ。
できあがった作品は子どもが喜んでくれてうれしいし、ヘアアクセサリーなどはお店で売ることも。お客との話題が増えたり、イベントや企画などに広がったりすることもある。
ずっと仕事を続けていたいと思う市川さんは、常に「子どもにベストな方法」を選びながら、「働き続けられる道」を模索して「戦略的両立術」を実践してきた。
それは、働き方、結婚相手、保育園の選び方、住むところ、すべてにおいて貫かれる指針のようなものだ。その指針はシンプルだが、貫き通すことは周りの人、会社、社会をも少しずつ変えていく力さえ、あるのかもしれない。
Column
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2016.07.28(木)
文・撮影=HITOMINA