ここは映画のセット!? 昔の中国にタイムスリップ
十月初五日街のすぐ近くには、「福隆新街」という通りがある。
メインストリートの新馬路から一歩奥まったこの通りは、昔の中国風情一色。紅い格子窓を設えた石造りの建物が立ち並ぶ風景は、まるで映画のセットのよう。といっても、けっしてテーマパークではなく、かつて賭博場や遊郭があった通りをみごとに再開発したエリアだ。
もくもくと湯気がたちこめる麺粥屋や、ふかひれスープ専門店、マカオ名物の杏仁餅(アーモンドクッキー)の老舗、石臼で胡麻を挽いて昔ながらのお汁粉を作る小さな食堂……。わずか数十メートルの通りの両脇にはさまざまな店があって、ここはちょっとしたグルメストリート。
右:昔の中国風情たっぷりの建物の中に、こんなポルトガル風カフェも。
右:同じくマカオ名物の肉乾(ジャーキー)。グルメ天国マカオにあって、首を傾げてしまう不思議な味ではある。
福隆新街は観光客やローカルが集まりいつも賑やかだが、一歩路地裏に入れば、そこは日常のマカオ。ドアを開け放した民家からは、中国麻雀のジャラジャラという音が聞こえてきて、田舎にでも来たかのような気分になる。今ではなかなか見られないそんなノスタルジックな雰囲気が注目され、香港映画のロケ地となることも。
2016.09.26(月)
文・撮影=芹澤和美