ここは映画のセット!? 昔の中国にタイムスリップ
中心地のセナド広場から徒歩約3分。紅い格子窓と門を構えたレトロな建物が並ぶ「福隆新街」。
十月初五日街のすぐ近くには、「福隆新街」という通りがある。
メインストリートの新馬路から一歩奥まったこの通りは、昔の中国風情一色。紅い格子窓を設えた石造りの建物が立ち並ぶ風景は、まるで映画のセットのよう。といっても、けっしてテーマパークではなく、かつて賭博場や遊郭があった通りをみごとに再開発したエリアだ。
真っ赤な格子窓の建物が連なる景観は、まるで中国映画のセットのよう。
もくもくと湯気がたちこめる麺粥屋や、ふかひれスープ専門店、マカオ名物の杏仁餅(アーモンドクッキー)の老舗、石臼で胡麻を挽いて昔ながらのお汁粉を作る小さな食堂……。わずか数十メートルの通りの両脇にはさまざまな店があって、ここはちょっとしたグルメストリート。
左:福隆新街の路上でよく見かける漢方茶スタンド。咳止めや風邪など症状別のお茶が揃う。消化促進にいいお茶は、料理がおいしくてつい食べ過ぎてしまうマカオでは欠かせない。右:昔の中国風情たっぷりの建物の中に、こんなポルトガル風カフェも。
左:福隆新街に店舗を構えるマカオ名物、杏仁餅(アーモンドクッキー)の老舗「咀香園餅家」。レトロなデザインの箱入りは、お土産にも喜ばれそう。右:同じくマカオ名物の肉乾(ジャーキー)。グルメ天国マカオにあって、首を傾げてしまう不思議な味ではある。
福隆新街は観光客やローカルが集まりいつも賑やかだが、一歩路地裏に入れば、そこは日常のマカオ。ドアを開け放した民家からは、中国麻雀のジャラジャラという音が聞こえてきて、田舎にでも来たかのような気分になる。今ではなかなか見られないそんなノスタルジックな雰囲気が注目され、香港映画のロケ地となることも。
創業1873年の安宿「新華大旅店」。トニー・レオンやフェイ・ウォン、チャン・ツィイー、木村拓哉が出演した香港映画『2046』にも登場する。
福隆新街のさらに路地裏へ。洗濯物が堂々と干された家の中から聞こえてくるのは、中国麻雀の音。
オレンジ色の街灯がやさしく灯る夜の福隆新街。優しい雰囲気が、旅情を誘う。
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- 文・撮影=芹澤和美
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