オリジナリティのつもりがそうじゃない悲劇
しまお まあメイクは、私はあきらめてるっていうか。技術的に、ここまでしかできないっていうのがあるから。でも、洋服はもうちょっといいものを着たいかな。
ジェーン 歳を取ってからファストファッションを着ると、さすがにみすぼらしくなるんですよね。
しまお 加工のシワが顔のシワに加算されますよね。
ジェーン でも、高い服っていうのも難しくないですか? たまに「柄おばさん」みたいな人いるじゃないですか。トランプが擬態したみたいな。私、体が大きいからああいう人になりかねないので。
しまお メガネも個性的になりがちな。
ジェーン そうそう。そういうのが好きな人ばかりの中に行ったら、結局「美大に行ったら全員下駄」と同じなんですよ。個性的になるのって難しい。
しまお 個性があるように見えて、その系列がありますよね。女の人って友達同士で服装の系列が似たりとかはしません? 同じ部類で集まりますよね。
ジェーン まあ、この歳になったら違うかな。友達のファッション、結構メチャクチャになってきましたよ。
しまお あ、本当に?
ジェーン それにしても「美大に行ったら全員下駄」って、標語にしてはっておきたいですね。オリジナリティのつもりでやってるけど、そうじゃないという。
しまお セルフヌードもね。私たちの世代にはなによりHIROMIXがいたから。手ブラとか、『ちんかめ』(宝島社)風な作品、美大には山ほどありました。
ジェーン うわー、あの時代にその歳だったら、私、死んでたわ。
しまお ビッグミニ(コニカから発売されていたコンパクトカメラ。HIROMIXも愛用)やトイカメラを持ち歩くのが当たり前。
ジェーン 全部呪いの言葉に聞こえますね。あの頃あんなに流行ったのに。
しまお 類が同じになっていくっていうのはありますね。
2016.07.24(日)
構成=臼井良子
撮影=鈴木七絵