ワイキキの外れ、地味なホテルの中 誰も知らないとっておきのワインバー

舞い戻ってきた「ワイキキの種馬」

 あまりに突然になくなってしまったので、仲間内では「サルバトーレはいったい今 どうしてるんだろう？」と、よく彼の噂話をしていたんですが、数年の年月が流れたある日、「なんか、昔『パーネ』やってたやつがサンドヴィラホテルの中にワインバーを出したらしいよ」という噂を聞きつけて「おや？」と思って行ってみたら、やはりサルバトーレだったというのがこの長い話の「オチ」であります。

 何が韓国で彼に起こって舞い戻ってきたのかはわかりませんが、とりあえず現在はキュートなのに妖艶と噂の、ダルゴ同様日本人の素敵な奥様とハッピーライフをお過ごしとのこと。

 とにかくまた元気に「島」に戻ってきてくれて、小さいながらも僕が好きなタイプのこんなに素敵なハワイらしいワインバーを開いてくれたんだから嬉しい話じゃないですかぁ～。

この店最大のお楽しみはスーパークラシックな大人の「ティラミス」。

 基本は上質なワインを、グラス一杯からお手ごろプライスで提供するのが人気のお店なので、料理はつまみ感覚でメニュー数も少なく凝縮された感じではありますが、この店本来のテーマであります、地中海を連想させる厳選された素材で作られたシンプルなアンティパスト＆サラダと3種のアントレメニューは、お腹が空き始めた深夜にはたまらなく魅力的であります。

 そして何と言ってもこの店最大のお楽しみはと言うと、甘いものをあまり欲しない僕でさえ、ハワイに来たら絶対に食べたい絶品中の絶品で、「パーネ」時代から大人気だったスーパークラシックな大人の「ティラミス」!!

 前回行った時は以前より少々小ぶりになってしまっていて悲しい思いをしたんですが(たまたまかもですが)、僕も含め、ワインよりもこれを目当てにわざわざやってくるリピーターも少なくないのも、十分に納得できるほどの逸品でありますので、行かれた際には必ずやお試しくださいね～。

多種多様な楽しみを味わえる島。

 とまぁ、心地よく酔えるハワイらしい「今」の穴場スポットをご紹介しましたが、お上りさんだらけの観光客たちさえ気にしなければ、一般的にはやはり、ワイキキにそびえ立つ一流ホテルで過ごすゴージャスなひとときこそが 一番の「THE HAWAII」と言えるのかもしれません。

 でも、人それぞれハワイに求める熱い思いは多種多様。あくまでも僕的にはこの島に「贅沢感」は求めてますが、「高級感」というものはまったくと言っていいほどを求めていないので、そういった一流ホテルより、どうしても抜け感と言うか、ゆる～いローカル感が漂う場所の方がお気に入り。

 そんな僕の独断と偏見で感じた「これぞハワイ!!」を新旧問わず、今まで経験したオモシロおかしなエピソードも添えて、これからもバシバシご紹介していきますので、みなさまも この連載を読んで より「ロコ」に近づいた感覚に陥っていただけたら幸いであります。

小川カズ(おがわ かず)
ファッションディレクター＆フォトグラファー。東京、青山生まれ。80年代半ばから当時まだ数少ないスタイリストとして活動を開始し、堺正章、石田純一、片岡鶴太郎、武田修宏などを担当する。99年からはフォトグラファーとしても活躍。ハワイと東京に拠点を構えて活動する。

2016.07.14(木)
文・撮影＝小川カズ