6本の爪で高く持ち上げられ、全方位から光を集めて輝くラウンドブリリアントカットのダイヤモンドリング。それは、選ばれた職人たちの熟練の技と、仕事に対する誇り、そして何よりこのシンプルなリングに込めた愛の結果だ。
さあ、どんなリングとも違う「ティファニー セッティング」をつくる精鋭たちに、接近してみよう。
Legendary Icon ; The Tiffany Setting
「ティファニー セッティング」に愛を込めて
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「ティファニーのリングの輝きは、人混みの向こうからも見える!」
そんな賞賛が囁かれるほど、ティファニー セッティングの発表は革新的だった。それまで、ダイヤモンドはベゼルにセットされていたため、表面の光しか見ることが叶わなかった。しかし、ブリリアントカットの美しさを最大限に引き立てるべく、チャールズ・ルイス・ティファニーは、6本のプラチナの爪でダイヤモンドを掲げるようなセッティングを考案したのだ。背面もふさがずオープンにしたことで、セットされたダイヤモンドはあらゆる方向から光を集め、全身で輝き始めたのである。
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この類まれなる煌きは、セッティングはもちろんティファニーのダイヤモンドが特別だからこそ実現可能なものだ。自社で調達した原石を自社でカットし、すべて手作業で作り上げているからにほかならない。
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まず、ティファニーのダイヤモンドを選択する基準は、業界に設けられた基準よりはるかに厳格である。自社の鑑定機関に属する、ティファニーのジェモロジストたちは、一般的な品質基準である「4C(カラー、カット、クラリティ、カラット)」の枠を超えて、選別を行う。カラーグレードは上位6段階以上、最高品質と透明度を誇る一流のダイヤモンドがふるいにかけられ、実に、世界で産出される宝石基準を満たしたダイヤモンドのうち、ティファニーのダイヤモンドとして採用されるのはわずか0.04パーセントのみ。さらに、独自の品質基準である「プレゼンス(存在感)」を設け、カットの正確さはもとより、対称性、ポリッシュなどの要素も加味し、全体の美しさを有するものだけを厳選しているのである。
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そして、この選ばれしティファニー セッティング エンゲージメントリングのダイヤモンドに対して独自の「ティファニー ダイヤモンド鑑定書」を発行。また、「フルライフタイムワランティ」により、生涯にわたって、鑑定書の内容を保証する。
このダイヤモンドに、原石の美しさを最も引き立たせるカットが施こされ、研磨され、リングへとセットされ、さらに研磨されて、永遠の愛を誓う芸術品へと昇華される。これらの卓越した技術は、何世代にもわたって引き継がれたクラフツマンシップによって守られている。
「私たちの仕事に、そしてティファニーで働いていることに大きな誇りを持ち、非常に満足を覚えています」。職人たちは、声を揃えて言う。ティファニー セッティングは、恋人たちのラブストーリーの象徴であると同時に、職人とダイヤモンド、そしてティファニーとの間に存在する幸福なラブストーリーでもある。だからこそ、時代を超えて数多のカップルの幸せのアイコンであり続けるのだ。
ティファニー セッティングには、ひとつとして同じものがない。熟練した職人が個々の石のサイズにぴったり合うようにひとつひとつカスタムメイドで仕上げているからだ。
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チーフ・ジェモロジストを31年務めるメルヴィン・カートリーは語る。
「自分にぴったりのリングを選ぶことは、運命の相手を選ぶのと同じこと。あなたに特別に語りかけ、恋に落ちたものがあなたのリングです。そうして手にしたダイヤモンドの輝きは、ふたりの愛のように決して、色褪せることはありません」
2016.06.24(金)
Photo=Pari Dukovic
Text=Rica Ogura
CREA Traveller 2016年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。