2019年11月8日より全国公開となるシネマ歌舞伎『女殺油地獄』。松本幸四郎さん演じる主人公の与兵衛は、刹那の欲望に突き進むいつの時代にも存在しうる若者だ。 最大のクライマックスは床にこぼれた油まみれになっての殺人のシーン。狂気を帯びた与兵衛の刃に最期の時を迎えようとしているお吉(市川猿之助)。 自分の意にそわないと暴力に走る与兵衛に、母の再婚相手である父・徳兵衛(中村歌六)も妹のおかち(中村壱太郎)も頭を抱えている。 与兵衛を思い、それぞれの立場で苦悩する母のおさわ(坂東竹三郎)とその夫・徳兵衛(中村歌六)は、お互いに内緒である行動に出る。ところが思いがけず鉢合わせとなる。