干満差6mもある有明海に浮かぶ一面の海苔養殖
海苔漁に伺ったの早朝はまだ真っ暗闇で、灯を照らしながら恐る恐る桟橋を経て船に乗り込みます。
一面真っ暗だった海も、養殖場所に到着する頃には、ほのかに海と空の境界が生まれて、きれいな青いグラデーションに色付いてきました。陽が昇り始めるとあらためて太陽の温かさを感じ、海苔になったような気持ちに。この雄大な海が海苔を育てていることを実感する時間でした。
船から小さなボートを降ろし、2人1組になって、海苔を引き上げていきます。支柱とロープはこのボート幅に合わせて設計されており、とても効率的にボートが海苔を掬い上げて収穫します。小さなボートにいっぱいの海苔を集めては、船に横付けして海苔を船に回収していきます。辺りが明るくなる頃には引き上げます。
港へと戻ると、港の景色は一変していました。元来た場所に戻ったのかも分からないほど、潮が引いて桟橋の高さが全く違っています。干満差6mを実感しつつ、海苔は、海そのものの味、海の環境の味なのだ......と感じました。
昔ながらの本当においしい海苔をつくる「皿垣開漁港」
収穫した海苔は、それぞれの漁師の工場に集め、加工が始まります。洗浄を行いながら、海苔を細かく粉砕します。細かくすることで、口溶けの良さに繋がる一方で、細かくすればするほど歩留まりは悪くなり、ロスになる部分がどうしても生まれてしまいます。
次に、海苔の整形に入ります。倉庫いっぱいに設置された大型の機会がパタッパタッと規則正しく動く中、粉砕した海苔が枠に流し込まれ、整形されていきます。海苔の厚みがあると、風味がいき、パリッとした良い食感にもつながりますが、1枚あたりに使用する海苔の量を多くすればするほど生産効率に直結してしまいます。どうしても、1枚いくらの世界ですから、なるべく多く作ることができる方が良い。しかし、細かく粉砕した口溶けが良い海苔は厚みがしっかりとして風味も食感も格別なのです。
整形後はそのまま順繰りに乾燥工程へと進み、束にして箱詰めされ、競りに出されて販売されていきます。皿垣開漁港では、この厚みと口溶けが特徴の昔ながらの良い海苔をつくる意識を、漁港全体で共有意識している稀有な漁港だと言えます。
