土と水、自然な農法で育まれたお米、微生物の力を活かした調味料、その土地の自然環境に適応する在来種の野菜。今、そういったもともと日本人がつくり続けてきた食品は0.1%以下の流通量になってしまっています。
自然と文化が織りなし生まれた食品を「素の味」と呼び、もう一度、素の味が食卓にあるのがふつうの風景にしていけたらと始まった、会員制スーパーマーケット「Table to Farm」のディレクター・相馬夕輝さんに、日本の素の味を教えていただきました。
今回の話は、納豆の『素の味』。日本の食卓に欠かせない納豆は、豆の違いだけでなく、その作り方にも美味しさの違いが現れるのだとか。納豆食文化から納豆菌についてまで、納豆の『素の味』を紐解きます。
» 日本の朝食に欠かせない納豆と、世界の納豆食文化
» 納豆の味の違いは何で決まる?食べ比べてわかったこと
» 納豆菌にとって居心地の良い稲藁発酵環境
» 安価で安定供給できる納豆と賞味期限の考え方
» 『素の味』は人間の豊かさを育んでくれる
日本の朝食に欠かせない納豆と、世界の納豆食文化
日本の朝食といえば、ご飯に味噌汁、卵焼きに海苔、塩鮭、漬物、そしてやっぱり納豆が外せません。毎日の生活の中で毎日同じものを食べても、ずっと食べ飽きない朝食は、本当にそれだけで素晴らしい。台湾に行けば小籠包や鹹豆漿を食べ、アメリカに行けばベーコンにスクランブルエッグにポテト......朝食はいつでも、その土地を知る特別な存在だと思います。その地域にある食文化の普遍的な魅力を、より濃密に、そして日常の中で感じさせてくれるものと言えるでしょう。
そんな日本の朝ごはんに欠かせない納豆の食文化は、実は日本に限りません。納豆の原理はシンプルで、蒸した大豆に枯草菌(コソウキン)と呼ばれる納豆菌が付着し、適度な温度と湿度環境の中で発酵してできあがったもの。そのため、その原理がぴったりと当てはまりそうな温暖湿潤なアジア圏では、さまざまな、日本とはまた少し違った形で納豆の食文化圏が分布しています。
例えば、タイやラオスの内陸部では、納豆を平たく伸ばして保存性を高めるために乾燥させ、必要な分だけ小分けに活用して調味料にします。ニンニクや唐辛子、レモングラスなどを入れてつくることもあるようで、そう聞くだけでもおいしそうですよね。それらは、スープには欠かせない隠し味とされています。日本でも旨みを生かした料理はあり、納豆汁などを思い出せばそのおいしさが垣間見えてきます。
