納豆の味の違いは何で決まる?食べ比べてわかったこと

 納豆菌は、先ほども挙げた、枯草菌という名の細菌の一種。当然、それぞれの環境でその種類も異なるため、日本のようにネバネバとした納豆が全ての地域や国に当てはまるわけではありません。日本の納豆菌は、あらゆる植物の葉にも茎にも、空気中にすら浮遊していて、実はどこにでも存在しています。その中でも昔ながらの稲藁が使われる理由は、より多くの納豆菌が稲藁の中にこそ存在しているからなのです。

 納豆の『素の味』を探して日本中の多くの納豆を食べ比べてみました。当初、大豆の違いに大きな味わいの差があるのじゃないかと、慣行栽培や有機栽培といった栽培方法の違いの大豆はもちろん、大豆の品種にも焦点を当ててみたところ、黒豆の黒千石、ユキシズカ、トヨマドカ、小粒のスズマルといった品種などもありました。何度も食べ比べてみると、少しずつ見えてきたことがありました。大豆それぞれには、確かに食感や風味に違いや魅力はあるのですが、風味や熟成度合いがより生かされていると感じた納豆に共通していたポイントは、稲藁の納豆菌が存在していることでした。

 同時に、保管しておいた納豆の保存期間別での変化なども試していきました。そこでも、明らかに冷蔵庫の中で時間の経過とともにおいしくなっていく納豆があるのです。それは稲藁の納豆菌たちで発酵させている納豆でした。最終的に、納豆の『素の味』として選ばせていただいた生産者は、どちらも稲藁を使った納豆づくりに取り組む、大阪の「らくだ坂納豆工房」と、北海道の「道南平塚食品」となりました。

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