ミュージシャンとしてのみならず、幅広いジャンルで活躍してきた近田春夫さんが、半世紀を超えるそのキャリアにおいて親交を重ね、交遊してきた錚々たる女性たちとトークを繰り広げる対談シリーズ「おんな友達との会話」。

 5人目のゲストは、安野ともこさん。小泉今日子さん、役所広司さんをはじめとする錚々たるビッグネームのスタイリストを務め、現在はジュエリーブランド「CASUCA(カスカ)」のディレクションを手がける彼女の幅広い活躍の軌跡を追う。


子育てはほとんどベビーシッター任せの多忙な日々

近田 安野が、写真家の伊島薫君との間の子どもを出産したのは何歳の時?

安野 息子を生んだ時が36歳で、娘を生んだ時が38歳でした。

近田 じゃあ、相当多忙な時期だったんじゃない?

安野 ええ。働きづめでした。1990年代は、まだ歌番組も多かったし、私、何組ものアーティストのスタイリングを引き受けてたから、慌ただしかったです。

近田 そういうスケジュールって、何かと重なりがちだもんね。

安野 特に年末ともなると、紅白だカウントダウンだと、目まぐるしくって。時には、ある番組の現場で衣装の用意してるのが、みんなうちのアシスタントだったってこともあったぐらいです。

近田 じゃあ、すごい人数のアシスタントがいたってことだね。

安野 来る仕事は拒まずってタイプだったので、そうやって何とかしちゃってたんですよね。

近田 そういう時、お子さんはどうしてたの?

安野 だから、子どもたちは、ほとんどベビーシッターの人たちに育ててもらったみたいな感じですよ。

近田 そうかあ。忙しいお母さんってさ、収入のほとんどがベビーシッター代に消えていっちゃうって聞くよね。

安野 そして、春休みや夏休みになると、毎年、一番の古株のアシスタントが、その子の実家に連れて行ってくれたんです。

近田 子育てもアシストしてくれたんだ(笑)。

安野 だから、子どもたちにとってみれば、私や伊島の両親じゃなく、アシスタントの両親の方がおじいちゃんおばあちゃんみたいなもんで(笑)。

近田 そりゃそうなるよね。

次のページ ジュエリーブランドを立ち上げた理由とは?