ミュージシャンとしてのみならず、幅広いジャンルで活躍してきた近田春夫さんが、半世紀を超えるそのキャリアにおいて親交を重ね、交遊してきた錚々たる女性たちとトークを繰り広げる対談シリーズ「おんな友達との会話」。
5人目のゲストは、安野ともこさん。小泉今日子さん、役所広司さんをはじめとする錚々たるビッグネームのスタイリストを務め、現在はジュエリーブランド「CASUCA(カスカ)」のディレクションを手がける彼女の幅広い活躍の軌跡を追う。
近田春夫プロデュースでシングルデビュー!
近田 こぐれひでこさんの主宰したアパレルブランド「2CV(ドゥーシーヴォー)」に勤めていた頃のさまざまなつながりが、その後の安野を新しい道へと導くわけだよね。
安野 ええ。こぐれひでこ・小暮徹夫妻の代官山のご自宅では、秋山道男さんとも知り合いました。
近田 秋山っていうのは、何でも屋みたいな不思議なやつだよね。俺、あいつが若松孝二監督のピンク映画に俳優として駆り出されていた1970年代初めから知り合いでさ。その頃は全然金に縁のない男だったから、無印良品やチェッカーズなどの総合プロデュースで名を揚げ、急に羽振りが良くなった時は、意外に感じたもんだよ(笑)。
安野 その秋山さんに、私はちょこちょこモデルを頼まれていたんですよ。当時、秋山さんが編集長を務めていた西友のPR誌「青春評判ブック」なんかに出てます。
近田 「青春評判ブック」の前身は、「熱中なんでもブック」。そのリニューアルを記念して、1984年に、安野は「フラワー」というドーナツ盤をリリースしたんだよね。
安野 ええ。その作編曲を手がけ、サウンドプロデューサーを務めてくださったのが、他でもない近田春夫さんでした。
近田 あのシングルはさ、西友が制作したインディーズ盤で、西武グループの店舗でしか扱ってなかったから、1,000枚限定のリリースだったんだよ。
安野 だから、今、すごく高いらしいですよ。中古レコード店では、1万円ぐらいの値が付けられてるって。
近田 俺、持ってねえや。取っときゃよかった。惜しいことしたわ(笑)。あの頃、安野っていくつだったの?
