「僕もスタイリストのアシスタントだったことがある」
安野 何の経験も修業もしてないし、スタイリストの作業を見てきたわけでもないから、どんな仕事なのかも皆目分からない。最初は、現場に携帯用の裁縫道具を持っていくことぐらいしかできなくて。
近田 どうやって仕事を覚えたの?
安野 手探りで何とかやっていくうちに依頼が増えて、アシスタントを雇うようになったんですが、フリーのアシスタントは、他のスタイリストにも付いているから、その子たちに、スタイリストの具体的な仕事について教えてもらったんです。
近田 師匠なのに、弟子からやり方を教わったんだ(笑)。
安野 その後、スタイリングの仕事が軌道に乗り、30代からはずっとスタイリスト一本でやっていくことになりました。
近田 実は、俺もスタイリスト見習いをやってたことがあるのよ。
安野 そうだったんですか!
近田 俺、大学に入りたての頃、「anan」のスタッフに採用されたんだけど、そこで任されたのが、スタイリストのアシスタントだったのよ。当時の「anan」は「ELLE」の日本版という位置付けだったから、スタイリストはフランス語で「スチリスト」と呼ばれてたけどね。まあ、雑用みたいなもんで、TOTOから撮影用小道具の便器を飛び込みで借りてきたり、いろいろやりましたよ。
安野 世の中の想像するスタイリスト像とは違いますね(笑)。
近田 初期の「anan」は、結構アヴァンギャルドなところのある雑誌だったから。ずいぶん冒険的だったよね。
安野 私、さすがに便器を調達したことはないなあ(笑)。
