動物舎全体を検疫エリアに

 ジャイアントパンダを日本から中国へ送り出す場合、30日間以上の隔離検疫が必要だ。そのため双子は、2025年12月27日から室内だけで過ごしてきた。

 室内で公開できる部屋は3部屋。観覧者から向かって左端をレイレイ、屋外放飼場を挟んで、右の2部屋をシャオシャオが使った。「今回は動物舎全体を検疫エリアとしているため、検疫に入る前と同様の部屋割りとなっています」(同)。

 リーリーとシンシンの検疫時は違った。検疫対象ではない双子が同じ動物舎内にいて、検疫エリアを分ける必要があったので、検疫前と部屋割りを変更した。その結果、左端の部屋をレイレイ、右の2部屋をリーリーとシンシンが隣同士で使い、シャオシャオが原則非公開だった。

 双子の検疫が始まると、白い防護服で全身を覆った職員が双子に駆虫薬を投与したり、X線で撮影したりした。これらは、普段の健康観察に必要な血圧測定や採血のトレーニングを続けながら実施した。狂犬病対策のワクチンも接種した。中国では狂犬病の発生が確認されているためだ。狂犬病ワクチンは、シャンシャン、リーリー、シンシンにも中国への渡航前に接種している。

久しぶりに同じ空間へ

 双子が上野動物園を出たのは1月27日(火)。「今日は人が多いのかな、いつもとどうも様子が違うな、といったことは察したように思います」(上野動物園の福田豊園長)。

 練習の成果を発揮してか、双子はすぐ輸送箱に入った。ただ、輸送箱の中でやや興奮気味になったので、これから長時間を輸送箱の中で過ごすことも考慮して、それぞれに鎮静剤を投与した。麻酔はしていない。ニンジン、リンゴ、パンダ団子も少し与えた。

 そして、シャオシャオ、レイレイの順にトラックにのせた。輸送箱に入っている状態とはいえ、双子が同じ空間にいるのは、2024年4月中旬以来となる。双子は2024年4月中旬から同居をやめて、別々に暮らしてきた。体が大きくなるにつれ、じゃれ合いが激しくなり、けがをする恐れがあったためだ。

 今回、久々の「再会」となった双子の様子について筆者が1月27日(火)の記者会見で福田園長に尋ねたところ、「2 頭が同一空間と言いますか、狭い場所で一緒になることは、普通はないですね。そういう意味で、今日は特別だと思います。輸送箱のすき間は大きくあいているわけではないので、箱の中から相手をどういうふうに見た、あるいは認識したかは分かりませんが、鎮静剤を投与しましたし、搬出の時はとても落ち着いていたと思います」とのことだった。

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