選考は山梨らしい物語性も重視
受賞した製品をいくつかご紹介。パッケージデザインも印象的な「SOILジンジャーシロップ(6種類)」について、林選考委員は「ジンジャーシロップということで、夜のバーでもお酒が飲めない人が楽しく過ごせるという発想がすごく魅力的だと思いました。このシロップの事業者である手塚さんは、もともとデザイナーとして活躍されていたのに、この事業を思いつき、生姜の生産農家になられて、実際に事業を立ち上げたという過程にも、山梨ならではのオリジナリティがあると高く評価をしました」と話します。
伝統を感じさせる西嶋和紙の「ミニチュア半紙一〆」については、深澤選考委員が「通常のサイズを小さくすることで新しいスタンダードを生んだということと、この束自体が非常に魅力的なデザインなのですが、更にデザイナーの方がブランドとして際立つパッケージを作ったことが素晴らしいと思いました」と評価。「同じデザイナーとしてはちょっとやられたなと思ってしまうほどで、山梨からこうしたデザインが出てきたことはとても嬉しいですね。伝統の中でチャレンジしたことも素晴らしいと思います」とも話していました。
柔らかいファブリックを洗練されたデザインで表現
「U80 スリーピング バッグ/エンベロープ マルチ」について、事業者の富士新幸がある富士吉田市出身で、実家が織物業を営む柴田選考委員はこう話します。
「こういう柔らかいファブリックのものを、キレイなデザインに落とし込むことは難しいんですよね。でも、この“U80 スリーピング バッグ/エンベロープ マルチ”は洗練されていて、なにより質が良いです。もともとはアウトドア用ですが、それが日常的に使えると、例えば災害や停電の時などにも役立つと思いますし、アップサイクルのダウンが使われているところにも時代性を感じました」
永井選考委員は「和火師・佐々木厳のための“和火”デザイン」について「白を基調としていて、しかも静かな美しさがあり、とても引き込まれました」と話します。
和火とは、赤褐色の炭の火の粉が尾を引き、やがて儚く消えてゆくその姿から、日本独自の美の概念に触れることができる日本の花火です。製法を変えることで線香花火から手持ち花火、仕掛け花火や打上花火まで様々な形の花火を創造することができます。
「打ち上げ花火にも日本的な情緒性はあると思いますが、それを手持ち花火の形で味わうことで、花火自体の面白さだけでなく、そこに漂う情緒性や精神性を感じさせてくれるデザインだと思います。パッケージも含めて非常に秀逸だと感じ、選ばせていただきました」
