娘役でわからないことがわかった!
――第1部の『梶原平三誉石切』では、染五郎さん演じる梶原平三と密接にかかわることとなる六郎太夫の娘・梢を演じています。歌舞伎に登場する娘役として代表的なもののひとつですね。
女方も勉強したいと思うようになってからはいずれはと思っていた役です。親を思う気持ちを大切に、芝居の中で紅一点の存在であることも意識して娘らしい可愛らしさを出せるよう心がけています。
――娘役といえば、昨年10月に歌舞伎座で上演された『義経千本桜』Aプロでのお里が健気で可愛らしく、とても印象に残っています。
ありがとうございます。お里は自分にとって初めての娘役で大変でした。例えばお姫様の場合は、何もしていない時の袂の扱いなどに決まりがあるんです。だからそれに則っていればある程度はそれらしい形にはなるのですが、何気ないシーンでも「この手はどうすればいい?」みたいな状態で。いざ舞台に立ってみてわからないことがわかり、自分などは女方として赤子のようなものなんだなと思いました。新作でもそれを痛烈に感じます。
――直近で言うと12月の超歌舞伎Powered by IOWN『世界花結詞』での初音姫実は白鷺の精霊とか?
はい。このせりふを言う時はどんな形を取るべきか、相手のせりふにどうリアクションすべきかでいちいち立ち止まってしまい、すぐには反応できませんでした。経験はもちろんですが、先輩の舞台を日々拝見して勉強することの大切さを実感しています。技術を一つひとつ学んで、稽古で身につけて……という努力の積み重ねなしにできるものではありません。もちろんそれは立役にも通じることですが、女方はより特殊な技術を必要とされるように感じています。まさに職人芸なんだと思いました。
――『義経千本桜』でお里が登場するのはお里の兄・いがみの権太を主人公とするエピソード。Aプロでのお里に対してBプロでは立役の主馬小金吾も演じました。どちらも若手俳優にとっては登竜門と言える役ですね。
小金吾は自分に限らず若手が憧れる大役のひとつです。(自分と年齢の近い)前髪の若衆の役なので発声もことさら意識してつくらなくても済みますし、割とすんなりと入れました。昨年勤めた役のなかで一番しっくりきたお役だった気がします。そうはいうものの気持ちがはやるとキーキー叫んでしまいそうになり、そこの両立は本当に難しかったです。
