土曜23時から生配信サービス「TwitCasting」で生配信されている「禍話(まがばなし)」は、2016年の開始以来、数千話に及ぶ怪談を積み重ねてきた実話系怪談チャンネルです。その膨大なアーカイブは青空怪談となっており、創作の参考にしたり、自分なりにリライトしたりして楽しむファンも多く、令和の怪談文化に新しい波を生み出しています。

 そんな禍話から今回は、とあるインカレサークルの先輩が語った不気味な一夜と、そこから続く不可思議な出来事をご紹介します――。

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「首がなかったら声なんかしなくないですか……?」

「く、首なくても声がわかるって、え……」

 戸惑いの表情でSさんに助けを求める後輩。Sさんは彼女の代わりにはっきりと聞きました。

「あの、気になっちゃったんですけど、首がなかったら声なんかしなくないですか……?」

 N先輩の表情はみるみるうちに曇っていきました。

「……そうだよな。え、なんか、なんか大事なことが思い出せないんだけど。い、今、思い出すから……。起き上がって影が見えて、声かけられて、そこまでは確実に覚えている。でも、それから、俺……なんかされ……」

 ブツブツと自問自答を続けるN先輩の様子に、その場の空気は凍ってしまいました。

「せ、先輩も結構酔っちゃったみたいだし、怖い話はこの辺にして今年の総括と来年の目標みたいなの語っていこうぜ!」

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