ミシシッピ川を北上してルイジアナ、ミシシッピ、アーカンソー州を巡り、アメリカ南部のディープ・テイストを楽しむ旅。街角に流れるジャズを聴き、優雅なプランテーションハウスに招かれ、アメリカの公民権運動の舞台をも訪れます。多民族の歴史が香るスパイシーな料理、甘さがぐっと濃いスイーツの数々。アメリカ南部をたっぷり味わう旅をご紹介します。
老舗レストランで食したアリゲーターのお味は?
ミシシッピ川の南端、メキシコ湾に面した河口の街であるルイジアナ州ニューオリンズ。国際空港の名前には「ルイ・アームストロング」が付く。ここは、アフリカの音楽にルーツを持つジャズの聖地。
街の名前“ニューオリンズ”は“新しいオルレアン”を意味する。ここは、かつてフランス領時代には首府だった。そして18世紀にはスペイン領になり、19世紀にはアメリカ合衆国へ。そんな複雑な歴史がエキゾチックな雰囲気を生み、この街はいくつもの違う顔を見せるのだ。
1840年創業の老舗、サービスもヨーロッパ的に折り目正しい「アントワーヌズ・レストラン」で、名産のカキを使った料理、元祖オイスター・ロックフェラーを食べる。オイスター・ロックフェラーは、殻付きのカキの上にクリームソース(ここはホウレンソウなども入る)とパン粉をかけて焼いたもの。洒落たカキのミニグラタンという感じ。カキの旨味とリッチなソースがマッチしておいしい。
「これも名産です」と言われたスパイシーなポタージュスープの中身はなんとアリゲーター(ワニ)! ワニの肉は、意外とまったくクセがなくて、あっさりしたビーフシチューのような味わいだった。
Antoine's Restaurant(アントワーヌズ・レストラン)
所在地 713 Saint Louis St, New Orleans, LA 70130
電話番号 +1-504-581-4422
URL http://www.antoines.com/
夕食を終えて、賑わう街をそぞろ歩く。あちこちからジャズが聞こえてくるのは、まだマルディグラ(謝肉祭)の興奮が冷めやらぬバーボンストリート。
2015年は、超大型ハリケーン・カトリーナの来襲から10年目。ニューオリンズは、市内の8割が水没した。そこから復興して今は活力にあふれる街になった。
2015.08.11(火)
文・撮影=小野アムスデン道子