ハイヒールを履いていない女性は入場禁止?
それは、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがレズビアン・カップルを演じた今年一番の話題作『Carol』のレッドカーペットでのこと。招待客としてやってきた女性プロデューサーが、ハイヒールを履いていないという理由で入場を断られたというのだ。
レッドカーペット、正しくは“ソワレ”(Soirée)と呼ばれる夜の公式上映は、観客もカメラマンも全員正装することが義務づけられている。男性ならタキシード、女性はドレスまたはスーツというのが基本だが、靴はフォーマルに則っていれば、ローヒールでも構わないはず。
右:『リトル・プリンス 星の王子さまと私』の日本語版声優としてレッドカーペットを歩いた鈴木梨央ちゃん。草履は大丈夫なようだ。
実際、このプロデューサーも上はドレッシーな服装、足下はラインストーンのついたフラットシューズで、正装にふさわしいものだったそう。他にも係員にローヒールやフラットシューズを注意をされたという声が続出、女性差別だと問題になった。女同士の恋を描いた映画でこんなことが起きるとは!
映画祭ディレクターのティエリー・フレモーは「カンヌはハイヒールを義務づけたりしていない」と弁明したが、どうやらレッドカーペットの係員たちは「昔のように優雅に、華麗に」という映画祭の意向を極端に受け止めていたようだ。実際、私の知り合いはプレス試写のときですら、トング・サンダルを履き替えるよう言われたという。あれま。
これに対し、『Sicario』でFBIエージェントを演じたエミリー・ブラントは記者会見で「みんなハイヒールなんてやめて、フラットシューズを履くべき」と主張。共演のベニチオ・デル・トロは代わりにハイヒールを履こうかと笑っていたが。どうやら、今年のカンヌは「ハイヒール・スキャンダルの年」として記憶されそうだ。
石津文子のカンヌ映画祭追っかけ日記2015
2015.07.16(木)
文・撮影=石津文子
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