マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

意外や意外!? マレーシアの“ベジ料理”はバラエティに富んでいる

 海外旅行中に、体が野菜不足を感じたことはありませんか? とくにマレーシアは、生の野菜を食べる習慣があまりないので、野菜が摂りにくい国だと思われがち。でもこれ、ちょっと誤解。炒めたり煮込んだりした“火を通した野菜(ベジ)料理”は驚くほど多種多様。さらに、日本ではあまり見かけない、野菜だけですべての料理を提供するお店も多くあります。じつは、日本よりも手軽に野菜を食べられるのが、マレーシアという国。というわけで今回は、マレーシアの“ベジ専門店”に注目します。

マレーシアの多民族な姿を象徴するもの、それは町に立ち並ぶ看板。英語・マレー語・中国語で書かれた屋台街の看板のなかで、ひときわ目立っているのが「素」または「齋」の一文字。ここが中国系のベジのお店。(写真提供:鈴木祥一さん)

 なぜマレーシアにベジ専門店が多いのか。まずひとつには、宗教的な理由があげられます。多くの中国系マレーシア人は仏教徒で、年に数回、殺生を禁じ“肉を食べない日”があります。また、インド系はヒンズー教徒が多く、彼らにとってベジタリアンというのはごく身近な考え方です。

フードコートにあるベジのお店。看板の「SAYUR」「齋」は野菜という意味で、この文字があると野菜のみを提供しているということが分かる。

 ふたつめに、医食同源の考え方をもつマレーシア人が多い、ということ。健康面からベジタリアンを貫いている人もいますし、肉と野菜をバランスよく摂るために、週に数回、ベジ専門店を利用する人もいます。いずれにしても、マレーシア人にとって野菜オンリーのベジ料理は、何も特別なことではなく、普段のごはんとして気軽に楽しむものなのです。

炒め物、煮込み、カレー、佃煮など約20~25種の野菜料理が常時並んでいる。

2015.04.30(木)
文・撮影=古川 音