マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。
スパイスと鶏肉のダブルのうま味! 王道「チキンカレー」
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常夏の国マレーシア。気温30度近い暑さが一年中ず~っと続いています。暑いなかで食べたい料理といえば、やっぱりカレーですよね! 日本ではインドカレー、タイカレー、欧風カレーが人気ですが、マレーシアカレーもそれらに勝るとも劣らない……いや、偏愛者の私から言わせれば、この3つのカレーの良いところをすべて合わせた究極のカレー。カレーを食べずして、マレーシア料理は語れません! なかでも民族・地域を問わず、マレーシア全土でマレーシア人に愛されている、横綱級のカレーがチキンカレー(現地語で「カリーアヤム」)。今回は、カレーを扱う店なら必ずメニューにあるマレーシアのチキンカレーを紹介しましょう。
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多民族国家マレーシアは、人口の約7%をインド系のマレーシア人が占めています。そのため、このチキンカレーはインドカレーの作り方によく似ています。たとえば、ホールスパイス(粒のままのスパイス)の香りを油にうつす“テンパリング”の作業。そして、玉ねぎ、にんにく、生姜を油で煮るように炒めたものに、ホールとパウダーの2種類のスパイスを巧みな時間差で加えることで、コクと香りを引きたてます。多種のスパイスを使いますが、それぞれが主張するのではなく、見事な一体感。とろみは少なく、サラッとしたスープ仕立てです。
ひと口カレー汁をすすれば、濃厚なコクと深いスパイスのうま味が体中を駆けめぐり、さらに、やわらかく煮込まれた鶏肉をフォークで崩してご飯と混ぜて口に運べば、肉の甘みとスパイスの刺激が口の中で溶け合って、もうたまらーん!!
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辛さは比較的マイルド。ココナッツミルクを加えているので、まろやかな甘みもあります。このあたりの味つけは、地理的に近いタイカレーの影響のよう。お店によっては、レモングラスを一緒に煮込んで、さわやかな酸味を加えることもあります。
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インド、タイの影響をうけ、さらに、最初に伝えた玉ねぎをじっくり炒めるのは欧風カレーの手法ですよね! このため、3つのカレーのいいとこどりをした究極のカレー、とお伝えした次第。これをまだ食べたことのない人がいたら、本当にもったいない。あなた、人生損してますよ!
さて、チキンカレーのお供は、白いご飯だけではありません。お米をココナッツミルクで炊いた「ナシレマッ」(詳しくはこちら)、網状のクレープ「ロティ・ジャラ」やインド系の素朴なパン「チャパティ」と様々。ときに、焼きそば麺にかかっていることだってあります。どんな主食にも合う万能さが、横綱級の知名度を生んだのです。
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さて、次は現地マレーシアでおいしいチキンカレーを注文する方法を伝授しましょう!
2015.04.16(木)
文・撮影=古川 音