マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

マレーシア人はみんな大好き! 夜ごはんはサテーとともに

 陽が沈み始めた頃にマレーシアの街をぶらぶらしていると、どこからともなく漂ってくるスパイスと炭火の混ざり合った、なんとも食欲がそそられる香りに遭遇します。その先には、もくもくと煙を上げながら串刺しにした肉、「サテー」を焼くお兄さんと、こんもりと盛られたサテーの束! もはやマレーシアの夜の風景には欠かせないごはん、それが“マレーシアの焼き鳥”とも言われている「サテー」です。

ずら~りと並んだ串! 串! 串! みんな一度にたくさんオーダーするため、長い炭火焼きの台はフル稼働! 舞い上がる煙から漂う香りは食欲をそそる。
ひと口サイズの肉3~4片を串に刺し、炭火でこんがり炙ったサテー。とてもジューシーで、添えられる甘辛いピーナッツソースをたっぷりとつけると、いくらでも食べられてしまう。

 サテーは日本人でも知る人が多いマレーシアごはんのひとつですが、「日本の焼き鳥みたいなお料理でしょ?」と言われることも。見た目は確かに日本の焼き鳥! でも、味付けは全く異なるのです。

鶏肉のサテー。お肉にしみ込んだターメリックのイエローカラーと、ところどころについた焦げ目のカラーバランスが絶妙。油を塗りながらじっくりと炭火で焼き、肉の外側に程よい焦げ目がついたら食べ頃。

 サテーの原型は、もともと中東の串料理「ケバブ」だと言われています。貿易で行き来をしていたアラブ人を通じてマレー半島にその味と串刺しのスタイルが伝わり、マレーシアはもちろん、広く周辺国であるタイやシンガポールまでも伝わったとされています。そのため、チリやターメリック、レモングラスやコリアンダーなど10種類近くのスパイスを混ぜたタレにじっくりと漬け込んで半日近くマリネした、なんともエキゾチックな味が特徴と言えます。

スパイスに漬け込んでマリネした、焼く前の鶏肉のサテー。屋台ではこんなかわいらしいサテーがこんもりとした束ごとたくさん並んでいて、ついつい大人買いしてしまう。(写真提供:かおりさん)

※4ページ目に、現地マレーシアのサテー屋台の様子を動画で紹介しています。もりもりに盛られたサテーの山は食欲をそそります。ぜひお見逃しなく!

 マレーシア人はみんな、サテーが大好き。サテー屋台やレストランにはいつもたくさんの人が訪れ、みんな束でオーダーしています。サテーは家で手作りはあまりせず、外で食べたり買って帰る人がほとんどのため、そんなにたくさん買うの!? と驚くほどの本数をぶら下げている人も多く見られます。日本ではサイドメニューのようなお料理ですが、マレーシアではサテーは立派なメイン料理。テーブルの真ん中にサテーが盛られたお皿が鎮座し、皆でおしゃべりをしながらひたすらサテーを食べ続けている光景も珍しくありません。話し込みながら食べていると、ついついひとりで20本、30本と食べてしまうのだとか。

左:マレーシア南部の町ムアーの人気サテー店「サテー マハラニ」。オープンスペースの店先では、男前なマレー系のお兄さんたちが休むことなくサテーを炙り続けている。(写真提供:Hamzaさん)
右:広い店内は美味しいサテーを求めて各地から訪れたマレー系民族で超満員! 宗教上の理由からお酒を飲まない彼らは、甘いドリンクとともにサテーを楽しんでいた。

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2015.03.05(木)
文=三浦菜穂子
写真=三浦菜穂子、古川音