日韓合作スリラー『ある優しき殺人者の記録』にも注目

『トンネル 3D』のGV。左から、司会者、パク・ギュテク監督、チョン・シヨン、イ・ジェヒ、ソン・ジェリム。

 『トンネル 3D』でジェリムが演じるのは財閥の浮気な御曹司ギチョル。恋人や友達を招いてリゾートを楽しもうとするものの、散々な目に遭うことに。クールな役柄の多いジェリムだが、現場ではムードメーカーだったそう。「同世代の仲間とずっと一緒だったので、すごく楽しかったです。現場はホラーというより、コメディを撮っているようでした」と笑顔で挨拶し、他のキャストとひそひそ話したりと楽しそうにしていた。

 GV終了後は、ファンと気軽に写真を撮ったり、終始リラックスした様子だった。プチョン(富川)はソウルからも近く、映画祭では想像以上に気軽にスターと触れあえるので、若手を青田買いしたい人にはぜひおすすめ。

『ある優しき殺人者の記録』のGV。左から、ヨン・ジェウク、キム・コッビ、葵つかさ、白石晃士監督。

 今年は日本からのゲストは少なかったものの、日韓合作のスリラー映画『ある優しき殺人者の記録』では、白石晃士監督、葵つかさが、主演のヨン・ジェウク、キム・コッビらと映画祭に参加。会場には、AV女優として活躍する葵つかさ目当ての男性ファンも多数いた。『息もできない』で知られるコッビは日本語が堪能で、ここ数年積極的に日本との合作や、日本映画に出演している。

 『ある優しき殺人者の記録』は、凶悪犯に脅され撮影させられているカメラマンのPOV(主観映像)で進む、いわゆるフェイク・ドキュメンタリー形式。残忍な場面も多いが、かなりびっくりさせられる結末なので、怖いのが大好きな方にはおすすめ。

 この映画に限らず、このところ日韓合作や韓国映画に日本人俳優が出演することも増えてきた。そのあたりについては、近日このCREA WEBに掲載される釜山国際映画祭のレポートで。

『18ノワール』のGVには主役イ・ジェウン(『大統領の理髪師』の息子役で有名)が兵役のため来られず。不良役のチャ・ヨプ(右から3人目)は今後人気者になりそう。

石津文子 (いしづあやこ)
a.k.a. マダムアヤコ。映画評論家。足立区出身。洋画配給会社に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。映画と旅と食を愛し、各地の映画祭を追いかける日々。ときおり作家の長嶋有氏と共にトークイベント『映画ホニャララ はみだし有とアヤ』を開催している。好きな監督は、クリント・イーストウッド、ジョニー・トー、ホン・サンス、ウェス・アンダーソンら。趣味は俳句。俳号は栗人。「もっと笑いを!」がモットー。