Magnificent View #397
ガラタ橋(トルコ)

(C) R. Ian Lloyd / Masterfile / amanaimages

 金角湾に架かり、イスタンブールの新市街と旧市街を結ぶガラタ橋。沢木耕太郎著『深夜特急』のファンなら、この街を訪れたことがなくても、容易にその光景を想像できるだろう。そう、主人公の「私」が、名物サバサンドの香りにつられて歩く、あの橋である。

 長さ490メートル、幅42メートルの橋は、上下2層。上層部には、片側3車線の車道と歩道があり、車や路面電車、自転車、人がひっきりなしに行き交う。下層部は、観光客で一年じゅう賑わうシーフードレストラン街だ。

 交通の要所、そして観光地でもあるガラタ橋は、人気の釣りスポットでもある。釣れる魚は、サバにイワシにアジ。歩道には、朝から晩まで多くの人が群がり、欄干から釣り糸を垂れている。中には、出勤前後のサラリーマンか、ネクタイ姿で釣りをする人も。

 橋の周辺で売られるサバサンド(フランスパンに焼きサバとタマネギを挟んだサンドイッチ)の食欲を誘う香りと、行き交う船の汽笛。背景に見える旧市街のモスクと、釣りにいそしむ人々。イスタンブールで一番賑やかな場所は、ここガラタ橋かもしれない。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2014.11.01(土)
文=芹澤和美