トルコでは禁漁期間というのがあり、おおよそ5月1日~8月31日(期間はその年により前後)は、漁が禁止となっている。つまり夏のトルコはあまり魚の種類が豊富ではないのだが、その代わり9月1日に漁が解禁になると、市場にはどっと魚があふれ、シーフードレストランが盛況となる。

いろいろな種類の魚が並ぶカラキョイ魚市場。赤いえらを出して陳列するのがトルコ流だが、ちょっと怖い

 というわけで今の時期、トルコはシーフードが旬。トルコ旅行などで毎日続くケバブの肉料理にちょっと飽き飽きしてきた人は、イスタンブールのエミノニュからガラタ橋を渡り切って左手にあるカラキョイ魚市場を探索しつつ、シーフードを堪能、というのもオツな選択だ。

 とくに日本人にも人気の「サバサンド」は、エジプシャンバザール向かいの海岸沿いに浮かぶカリブの海賊みたいな船上で売られているものや、ガラタ橋下に軒を連ねるレストランで提供されるものが有名だが、これらは基本的に観光客向けの店舗。これに対してカラキョイ魚市場付近に点在する屋台のサバサンドのほうは、地元の人たちも行きつけにしている美味しさがある。その特徴は、おじさんが焼いたサバから丁寧に小骨まで取ってくれるところや、パンも鉄板に乗せてカリッと焼いてくれるところ。その上挟んでくれる野菜の種類も豊富で、目の前で作ってくれるので好みをあれこれ伝えられ(トマト多め、たまねぎなし、レモンたっぷり……などなど)、自分好みの「マイ・サバサンド」を作ってもらえるのもうれしい。パリッとしたパンに脂ののったしっとりサバの身とシャキシャキ野菜たちのコンビネーションは絶妙。

こんな風に、パンを鉄板に押さえつけてカリッと焼いてくれる。おまけに小骨も取ってくれるなど、いたれりつくせりなサービス

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text&photographs:Aki Yasuo