古くから残るアパルトマン建築がちらほら見える、セルダルエクレム小路

 イスタンブールのベイオール・ガラタ地区。このエリアの歴史は深く、東ローマ帝国時代にはコンスタンチノープルに隣接するジェノヴァ人居住地区だったという。今なお古き良き時代の香りが漂い、最近では歴史的建造物のリノベーションや再開発が進んで、おしゃれスポットとしても人気が高まっている。そんな一角、セルダルエクレム小路にある古いアパルトマンの一つを修復して昨年10月にオープンしたのが、「ジョルジェスホテル」だ。

 オーナーはトルコ人とフランス人のハーフである、アレックス・ヴァルルック氏。コンセプトは「イスタンブールにいながらパリを感じられるブティックホテル」で、フランス風味のプチ・デラックスな隠れ家的空間に仕上がっている。外観は、ホテルというよりちょっと大人なレストラン・バーといった趣き。エントランスには、看板がなく、初めてここに来る人には、一体どこがジョルジェスホテルなのかなかなか分かりにくいだろう。

 そしてこのホテル、いわゆるイン・ルーム・チェックイン方式を取っており、レセプションカウンターなどはナシ。チェックイン手続きは客室で、iPadを片手に持つホテルマンがさっとこなしてくれるので、ホテルに来たというよりは、おしゃれな外国人のお宅にお邪魔させてもらったかのようなくつろぎ感がうれしい。

奥に見える半島は、世界遺産にも指定されているイスタンブール歴史地区。左からトプカプ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスクが並んでいる

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text&photographs:Aki Yasuo