イスタンブールのヨーロッパ側・新市街にたたずむチュクルジュマエリアは、古くから骨董品屋さんが軒を連ねていることで有名だ。
このエリアに立ち並ぶ骨董品店のテイストはさまざまで、本当に高価なアンティークを扱うお店もあれば、おもちゃ箱をひっくり返したような店内でガラクタ同然の古道具を売っているお店もある。だけど、あくまで散策を楽しみたい派としては、そんなガラクタたちをひやかしながら歩く方がむしろ楽しい。シャンデリア、蓄音機、古本・古レコード、時代物のアイロン、ホーローのやかん、絵入りのブリキ缶……、見ているだけでワクワク感が募るアイテム満載だ。
実はオスマントルコ帝国から近代にいたるまで、この辺りにはヨーロッパやアルメニア、ユダヤ人系のセレブ外国人が多く住んでいたという。このため彼らが残した質の高いアンティークも少なくなく、ガラクタでいっぱいに見える店内にもきらりと光る掘り出し物がなきにしもあらずなのだ。
チュクルジュマエリアは、タキシム・イスティクラル通りの喧騒と海沿いのトプハネ地区に挟まれたくぼみ(チュクル)に位置しており、どちらからアプローチしても徒歩12分ほど。チュクルジュマ通りとその周辺を走る数本の通りに骨董品店が点在する。もともとトルコ人芸術家などに人気のエリアだったが、最近では外国人観光客も多く訪れるようになった。そのため古くからある庶民的ショップのなかにも、ぽつぽつオシャレカフェなどがオープンし始め、新旧混在の街になりつつある。
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text&photographs:Aki Yasuo