シェフ養成学校の付属レストラン
イスタンブールに在住する日本人の間で、「レベルが高くて美味しい!」と話題のレストランがある。新市街北部のオフィス街、マスラックにある「MSA:Okulun Mutfağı(学校の台所)」 だ。
ここ、実はふつうのレストランではなく「MSA」というシェフ養成の専門学校に付属したレストラン。このため、働いているのは数人の先生を除いてすべてシェフの卵たちだ。オープンキッチンのなかで料理を担当するのはもちろんのこと、注文を取ったりサービスしたりするのも研修生たちなので、みんな目が真剣そのもので初々しい。
メニューはマネージャーでもあるシェフのジェムさんが主に企画しており、テーマは「モダントルコ料理」。さすが、プロのシェフを養成している専門学校だけあって、その内容はトルコ・スタンダードから見るとかなりハイレベルだ。例えば食前にサービスされるパンやムハンマラ(パンにつけるペースト)はすべて手作りだし、「ラム・ヒレ肉の蒸しパンサンド」にかかっているソースは2日間かけて煮込まれたローストにんにくソースだという。このほか、いちばん人気の「カフェ・ド・パリ・ソースのボンフィレ」のソースにはサフラン水が入っており、添えられているポテトフライには、イタリアンパセリとパルメザンチーズに加えて、トリュフオイルがかかっているという手の込みよう。
右:「カフェ・ド・パリ・ソースのボンフィレ」。一見シンプルなプレートだが、ソースやポテトなど凝った味わいが人気を集めている。
文・撮影=安尾亜紀