プロ意識が芽生えた『桐島、部活やめるってよ』

――翌06年からは自身でも自主映画を撮り始め、09年に監督・脚本・主演の『脚の生えたおたまじゃくし』は、2010年にはゆうばり国際ファンタスティック映画祭などで賞を受賞されます。そのときの率直な気持ちは?

 そのときの審査員長だったジョニー・トー監督に「彼は将来有望な監督だ」と言ってもらって、その後も香港や東京で監督にはお会いする機会はあったんですが、本当に信じられませんでしたね。大学を卒業した後も、大阪でバイトしていたし……。『見えないほどの遠くの空を』出演の話が決まったことをきっかけに、ようやく東京に出てきたんです。

――その後、『桐島、部活やめるってよ』での映画部員・武文役で、一躍注目されますが、どのような作品として捉えていますか?

 変な話、それまで自分の中でプロ意識みたいなものはなかったと思うんです。でも、いろんな人にこの作品が評価されたことで、人から見られていることを改めて実感した気がします。自分より年下の俳優と一緒だったことも楽しかったです。太賀くんや落合モトキくんとはその後も共演作が多いですし、いろいろな繋がりができた作品でした。実際、『桐島~』をきっかけに、みんながそれぞれいろんな作品に出ているので、それだけいろんなタイプの若い俳優が出ていた作品と言えるかもしれませんね。

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2014.09.05(金)
文=くれい響
写真=深野未季