次の部屋では、第7、第8の龍2匹が対角線上に見つめ合うような姿で描かれる。右下に姿を現す第7の龍は教えを授かる姿を、左上に描かれた第8の龍は、教えを説く姿として登場する。

「第7の龍はまだ若く、体をぐっと翻している。逆に第8の龍は、もうすでに老龍ですね。少し落ち着きを持っています。この部屋は、老いた龍が若い龍に教えを授けている場面が描かれています。寺院で師匠から弟子へ教えを授けるのと同じように、龍たちにもそういう世界があるのではないかと。若い龍はひげが綺麗に伸びていますが、老龍のひげは縮れており、だいぶ老いが進んでる様子が窺えます」

最後の老龍が見つめる先には…

 最後となる第9の龍は、角も折れてひげも縮れ、牙も抜けた老龍が、岩の上に身を落ち着かせている姿が描かれている。誕生から老年まで、さまざまな試練を乗り越えて刻まれた年輪が、見事に表現されている。

「頭も白く、至る所にしわが刻まれますけれども、別に衰弱して息も絶え絶えというわけではない。龍が見つめるその先、襖の一番右には、龍安寺の石庭にある一番大きな主石が描きこまれています。これで龍安寺とこの襖絵が有機的に繋がって、龍のいる世界に我々も存在する、というような物語の締め方になっているのです」

 龍の誕生から成長、老いまでを描いた障壁画。最後に私たちの世界へと繋がることで、龍の一生が私たちの人生と呼応していることに気づかされる。一部の障壁画は通常の拝観料で鑑賞でき、11月末までの土日には、全92面を鑑賞できる特別拝観も実施している。龍の生涯を描いた雲龍図を拝観する時間は、自分という存在に向き合う時間にもなるだろう。

龍安寺

所在地 京都市右京区龍安寺御陵下町13
拝観時間 3月1日~11月30日 8:00~17:00、12月1日~2月末日 8:30~16:30
障壁画の拝観に関して
 2026年9月12日~2027年7月25日:障壁画全92面のうち、襖絵32面と舞良戸の一部を公開。
 2026年9月26日~11月29日までの土・日曜日:閉門後、全92面の障壁画を間近で鑑賞できる特別拝観を実施中。好評につき2027年秋にも実施予定。
 詳細は公式HPへ