「龍が仏の教えを守護する神に位置づけられていることから、龍には『法(仏の教え)の雨を降らせる』という意味が込められています。また水を司る神でもあるため、龍を描くことで、建物の火災防止を祈願する思いも込められていることがあります」

 第2、第3の龍が描かれた部屋に向かうと、角がぐっと伸び、顔立ちもより龍らしくなった、生命力がみなぎる2匹の若い龍が現れる。第2の龍は岩に爪をかけて今まさに飛び立とうとしている姿を、第3の龍は飛び立って行った姿が描かれる。

中心部には、龍の象徴的なシーンが

 方丈の中心部へ移動すると、青年期を迎えた第4、第5、第6の龍が姿を見せる。第2、3の雲龍図にはなかった障壁画に飛び散る墨の飛沫は、まるで荒波に揉まれる龍の生涯を表しているようだ。

「ここは室中の間と呼ばれる、この方丈という建物全体の中でも中心的な部屋になります。第6の龍が描かれた襖の奥には仏間があるため、一番格式の高いエリアでもある。そんな最も重要な場には、龍が知恵の真珠を手にしている象徴的なシーンが描かれています。細川さん自身も、この第6の龍が特に気に入っておられるようです」

「正面から見て右側にある第4の龍は、自由の身になろうともがいている姿を、左手に描かれた第5の龍は、大きな波に立ち向かっている姿を。そんな青年期らしい、大きな試練や苦労を乗り越えているシーンが描かれています」

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