昨年あたりから、SNSで「韓国映画は低迷している」というポストや記事がたくさん見られるようになり、驚いた人も多いだろう。
『パラサイト 半地下の家族』はカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得し、アカデミー賞で作品賞などを総なめにしたのに! というのが率直なところではないだろうか。
それは確かにそうである。しかしコロナ禍以降の数年間、低迷していたのも事実である。そして現在は、復活の兆しがあることも事実なのである。
現場レベルでも悲観の声が
SNSなどで「低迷」を指摘され始めた韓国映画。危機感を煽る報道と受け取った人もいたかもしれないが、実は現場レベルでも悲観する声は聞こえていた。
筆者はここ数年、韓国の映画人や俳優に取材をしてきたが、皆が「韓国映画は厳しい。日本映画は『国宝』みたいに三時間近い上映時間でも大ヒットする作品がある」「是枝裕和、濱口竜介、三宅唱、山中瑤子といった監督が、何も起こらない映画を撮っていてすごい!」と言っているのを何度も聞いたのだった。これは大げさな話ではない。
韓国映画に何が起きているのか。まずは簡単に韓国映画の盛衰の歴史と出資の構造を振り返ってみたい。
国外市場を見据えていた2000年前後
韓国映画のことを語るとき、しばしば「韓国は国内市場が小さいため、海外に観客を求めている」と言われることがあるが、この言説は1997年のIMF危機における政府の文化政策によるものである。確かに1998年以降の金大中大統領は、文化コンテンツでの外貨獲得を目指し、1999年の『シュリ』や2000年の『JSA』には多額の制作費がかけられ、日本などでも公開され話題となった。
韓国では現在、1000万人の観客動員を超えると大ヒットと言われているが、初めて1000万人のヒットを記録したのは北朝鮮の国家主席を暗殺するための工作部隊の実話を描いた2003年の『シルミド』であった。その頃1000万人ヒットは、年に一本あればいいほうで、毎年コンスタントに出るものではなかった。
文=西森路代
