猟奇ユニット「Fear飯」のかぁなっきさんが収集した実話怪談の数々を、聞き手であり映画ライターでもある加藤よしきさんに語り聞かせる人気の怪談ネットラジオ「禍話(まがばなし)」。生配信サービス「TwitCasting」で2016年に始まり、今年で記念すべき10年の節目を迎えた同番組は、ホラー界隈から変わらぬ熱い支持を受けています。
本記事ではそんな禍話から、ある病院に入院していた患者が体験した、恐ろしすぎる出来事をご紹介します――。
» 怪談特集を見る
Aさんの身に降りかかった突然の痛み
Aさんは都内のある中小企業で長らく経理課長を務めてきた50代のベテラン男性社員で、当時はやや人けの少ないエリアに妻と2人でひっそりと暮らしていました。
勤務態度は真面目一徹。
きっちりと仕事をこなすことはもちろんのこと、同僚に対して人当たりを良くする心配りにも彼の誇りは宿っていました。経理課にたまにやってくる新人社員たちから「Aさんとお話しするとなんか息抜きになります……」と言われると、自分の努力が報われるようでした。
これまで、何度も昭和的な空気が残る職場を経験してきたにも関わらず、今の職場では残業を良しとしておらず、その日の仕事はその日のうちにという、ある意味で令和的な感性を持ち続けていました。こうした部分に若い社員たちは好感を抱いたのかもしれません。
子どもは娘が1人いましたが、今は近隣の県の大学付近で一人暮らしを満喫中。自分を慕ってくる、娘とさほど年の変わらない社員たちと接していると、少し娘に会いたい気持ちを覚えることもありました。けれど、自分が若いときも過保護な親には困らされたので、やたらと電話したくなる気持ちをグッと堪えて日々を過ごしていました。
そんなAさんに、ある日予期せぬトラブルが降りかかったのです。
「うっ……いた、いたたたた……」
「大丈夫!?」
「いや、なんかお腹が……」
いつもの妻との夕食中に急に襲ってきた腹部の痛み。ここ最近は胃もたれしがちだったので、それが少し強まっただけだと妻に強がってみせたりもしたAさんでしたが、すぐに余裕はなくなり、額には苦痛を我慢するうちに脂汗が滲み出ました。
「えーっと、結論から申しますと、懸念されていた胃の病気というより、胆のうの炎症でほぼ間違いないですね」
翌日、緊急外来に駆け込んで検査を終えたAさんは、ベッドの上で腹を押さえたまま、かたわらに立つ医師の言葉を妻と共に聞いていました。
