「あなたは大丈夫です」
すでに仕事を終えたような落ち着いた目でこちらを見つめている男性。
「まあ、親友っていうか、ただの同僚というか……」
「居なくなったら心に大きな穴が空いて辛くなったりします?」
「…………いえ」
「ですよね。わかりました。やっぱりあなた見てないですね」
「あの……」
「燃やしたのはただのパフォーマンスなんですけど、ほらこれ……」
男性がポケットから取り出したのは、先ほどUさんたちが描いたイラストでした。
そこに描かれていたのは、どれも“ただ前に突き出された男の両腕”でした。
「2、3日したら服も描き始めると思うんですけど、そうなるともう手遅れなんですよ」
男性はHさんの肩を優しくポンと叩きました。
「あなたは大丈夫です。彼らには説明しておきますんで、少しここで待っていてください。呼んだらそのまま何も言わずにお帰りになって大丈夫ですので」
一体、何が起きているというのでしょう。五里霧中のままとんとんと進んでいく事態に戸惑いながら玄関口で靴を履いていると、ふと背後に視線を感じました。
「ごめんなぁ」
それが最後に聞いたUさんの言葉でした。
翌週からUさんたちは会社を欠勤し、そのまま行方不明になったそうです。
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