姿も声も…進化する飼い猫の「かわいい」
獲物を咬み殺すには強い顎が必要で、そのためにはある程度マズル(口吻)が長くある必要がある。つまりキツネのような鋭い顔になる。しかし人間から食事が与えられる飼い猫に強い顎は必要なく、マズルは短くていい。すると顔は丸く、よりかわいらしくなる。
例えば耳が垂れたスコティッシュ・フォールドは、丸い顔をより強調する。足の短いマンチカンはより赤ちゃんぽく、かわいらしさが強調される。これらはみな、飼い猫だからこそもてはやされる特徴だ。
実際、2022年に日本のチームがこんな研究を発表している。リビアヤマネコや人間に頼らない野良猫と比べて、飼い猫や純血猫はBaby Schemaは強くなっているのだ。リビアヤマネコや野良猫は吊り目だが、飼い猫や純血猫は垂れ目気味(目頭から目尻の角度が鈍角)であることもわかった。これはマズルが短くなった影響だろう。
別の研究では、飼い猫はリビアヤマネコより声が高いこともわかっている。飼い猫は人間がより強く魅かれる「猫撫で声」に変わったのだ。
猫は祖先のリビアヤマネコより姿形と声をよりかわいらしく変えて私たちを魅了している。かくいう私も、猫に魅了されたひとりである。
富田園子(とみた・そのこ)
ペット書籍を多く手掛けるライター、編集者。日本動物科学研究所会員。編集・執筆した本に『教養としての猫』『猫とくらそう』(ともに西東社)、『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『私が死んだあとも愛する猫を守る本』(日東書院本社)など。
