ブックファースト梅田2階店 後藤亜衣理さん
佐々木愛さんの文庫『プルースト効果の実験と結果』が好きだ。短編ながら、どれも小さい棘を読者の心に刺していく。痛いのに、この痛みと一緒に生きていこうと思える、そんな短編集。佐々木愛さんを一瞬で好きになった。
今回は恋愛要素よりは老若男女人間1人1人の解消されないコンプレックスや過去にスポットライトが当たっている。テーマが変われど、読み始めると「ああ、これは佐々木愛さんの作品だなぁ」とすぐに浸れた。口頭でも文章でも説明できないのだが、「佐々木愛さんにしか書けない、変わらない良さ」があって安心した。
カラオケ店は個室で大きい声を出せる場所であり、つまりは自分の奥の奥を曝け出すのにいかに最適かを改めて気付かされた。道や家で大声を出すと迷惑になるが、許容範囲内ならカラオケ店だけはそれが許される。
気持ちがスッと落ち着いていく登場人物たちをみていたら、わたしもカラオケに行きたくなってしまった。カラオケに行き、マイクを握りしめ、身振り手振り、熱唱して、涙を流したい。そんな気持ちになった。

うさぎやTSUTAYA矢板店 山田恵理子さん
ざらざらしたやすりにかけられた心が、夕焼けのグラデーションのようにだんだんメロウに変化していくのが素敵に思える作品です!

紀伊國屋書店さいたま新都心店 大森輝美さん
ドラマチックなことは起きなくても、私たちは明日を生きる。カラオケボックスは歌ってストレス発散! の場だと思っていたけど、1分後の自分が前向きになれる場所でもあると思った。

じゃないほうの歌いかた

定価 1,980円(税込)
文藝春秋
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2025.09.19(金)