故イ・ソンギュンや、ユ・ジェミョンとの撮影現場での関係

――歴史ものをよくご覧になってたということですけど、どのような作品に心を動かされましたか?
韓国で上映されたり放送されている歴史ものはほとんど見ます。首陽大君(注:スヤンテグン。朝鮮王朝第5代王・文宗(ムンジョン)の弟。1453年に「癸酉靖難(ケユジョンナン)」と呼ばれるクーデターを起こし第7代王・世祖となった)や思悼世子(注:サドセジャ。朝鮮王朝第21代王英祖の次男。英祖により米びつに閉じ込められ餓死する。韓国史では悲劇の父子として知られる)の話も好きでよく見ましたし、映画だと『KCIA 南山の部長たち』や『1987、ある闘いの真実』、『ユゴ 大統領有故』なども好きでした。

――今回の映画は、重い部分もありますが、チョ・ジョンソクさんが演じられた弁護士には、軽快な部分もありました。それはご本人が肉付けされたものでしょうか。
その部分については、私自身が肉付けしたというよりも、監督の選択によるものだったんではないかなと思っています。弁護士のチョン・インフという役を演じているのは私自身ではありますが、表現する上で様々な方法を試みました。
実際に軽快な表現もありましたし、または完全に笑いを消して表現したときもありました。その結果、最終的に監督が編集をする過程で選択した部分というのが、より軽快な部分だったんだと思います。そこには、あまりこの作品を重くなりすぎないようにしたいという監督の希望もあったのではないかなと思います。
――ではそれぞれのシーンで重めの表現も、軽快な表現もされたっていうことですか。
そうです。だから現場では色々なテイクで表現をしていました。

――先ほど俳優さん同士でも話されているということでしたが、亡くなったイ・ソンギュンさんや、ユ・ジェミョンさんとはどんな風に撮影をされていたんでしょうか?
実際に3人が普段から本当に親しい間柄だったんです。なので、演技をする瞬間までは普通に話していても、いざ本番となると登場人物になりきって、がらりと雰囲気が変わるのが面白かったですね。本番になると、考えてもみなかった演技をされるので、私もそれに反応して、それに合わせた表現をしたりしました。そういうやりとりを楽しんでいた感じがあります。でも、カメラがまわっていないときは、長男、次男、末っ子みたいな感じでした。
2025.08.22(金)
文=西森路代