この記事の連載

 

 倉敷に住む有志の声から誕生した映画『蔵のある街』(倉敷先行公開)で、映画初主演を務める俳優・山時聡真。

 前篇では、主人公に大抜擢された宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』(2023年)を始め、10代のキャリアを振り返って語っていただきました。

 後篇では、8月22日(金)に全国公開となる本作への想いや、ロケ中のエピソード、徹底した役作りについてなどインタビュー。さらに20歳を迎え、今後の展望について伺いました。


共演した道枝駿佑くんとは食事に行くほど仲良し

――2024年1月に放送されたドラマ「マルス-ゼロの革命」(テレビ朝日)では、道枝駿佑さん率いる動画配信集団の中で頭脳派・呉井役を演じられました。印象に残っているエピソードはありますか?

 僕が演じた呉井は、毒舌でビビりで、高いテンションのときもある面白キャラだったうえ、演出が映画『約束のネバーランド』(2020年)から3度目になる平川雄一朗監督だったんです。平川監督は、いつも「ずる賢く目立ちに行け」と言ってくださる方で、いろんなところで爪痕を残して、とにかく目立ちたいなと思いながら演じました。

 共演者の方と年齢が離れていたこともあり、最初はあまり話すことはなかったのですが、7〜8話ぐらいから急激に仲良くなり、同じ携帯ゲームをプレイすることが流行したんです。特に道枝くんとは、今はプライベートでも一緒にご飯に行くほど仲が良いです。

――さらに、同年10月に放送されたドラマ「民王R」(テレビ朝日)では、初の刑事役を演じられました。

 さすがに19歳で、警視庁公安部の刑事役を演じるとは思ってもみなかったので、お話をいただいたときは驚きました。ただ、コメディーなので、だいぶ大袈裟に演じることを意識しました。共演の遠藤憲一さんや大橋(和也)くんが現場でアイデアをいっぱい出されていたので、僕も怯まずに出してこうと思い、とにかく「エンケン(遠藤憲一)さんを笑わせよう」ということを目標に、頑張っていました。一度だけ、僕の芝居でエンケンさんが笑いを耐えられないぐらいになっていて、ガッツポーズしたことを覚えています。

――これまでのキャリアで、ご自身にとって転機となった作品は?

 中学2年生のときに、平川監督と初めてお会いした映画『約束のネバーランド』です。何度も何度も怒られましたし、NGも出してしまい、酷いときには20テイクぐらい重ねるときもありました。そうした監督の厳しい指導もあり、学びが多く今でも忘れられない作品になっています。

 平川監督と2度目にご一緒したのは、24時間テレビ ドラマスペシャル「生徒が人生をやり直せる学校」ですが、そのときの共演も『約束のネバーランド』でご一緒した浜辺美波さんと板垣李光人くんだったんです。

2025.08.22(金)
文=くれい 響
写真=平松市聖
ヘアメイク=髙橋幸一(Nestation)
スタイリング=西村咲喜