
後悔しない生き方をするには、単に正しい決断をするのではなく、自分の中にある選択の基準に照らし合わせて物事を決めることが大事だと、臨床心理士の中島美鈴さんは言います。誰かの期待や、「こうするべき」という固定観念に流されない自分の価値観とは?
新刊『マンガで挑戦 とっちらかった頭の中を整理して決められる人になる』(主婦の友社、マンガ:あらいぴろよ)を上梓した中島さんに、自分の軸となる価値観を見つける方法をお聞きしました。
》【前篇】直感でマンションを即買いの失敗も…臨床心理士が解説! 誰でも「本当の決断力」を得られる“簡単4ステップ”
自分がもつ「価値」の見つけ方

――中島さんは、意思決定が苦手な人でも「問題の明確化」「情報収集」「選択肢の作成」「価値判断」の頭文字をとった「もじせか」の4つのステップで、物事を決めることができるとおっしゃっています。頭を整理することで意思決定ができるようになると、何が変わりますか?
中島美鈴さん(以下、中島) 自分軸で決断ができるようになるので、決断を後悔することが少なくなります。
私たちが「決められない」と感じる時は、人の目や評価を気にして、「自分はどうしたい?」が置き去りになっていることが多いものです。「もじせか」は、進学や就職・転職、結婚など、人生のあらゆる決断の場面でも非常に役に立ちますので、ぜひ活用していただきたいです。
――自分がもつ「価値」は、どうすれば見つかるのでしょうか。
中島 「1年後の自分」の夢を書き込むワークをおすすめします。
真ん中に1年後になりたい自分のイメージ像を描き、そのまわりに、1年後になりたい体、心の状態、仕事、生活など8つの目標を書き込みます。小さなことでも、それが自分の「好き」に近づくステップになり、漠然とした夢が可視化されていきます。
私のカウンセリングでは、毎年1月にこのシートを記入してもらうのですが、3カ月後にふり返りをしてみると、目標(ゴール)に近づいていない方が意外と多くいます。たとえば、「英語を話したい」「海外に住んでインフルエンサーになる」という目標を立てたものの、実は英語にも海外にも興味がなかった、という方もいます。
2025.07.30(水)
文=相澤洋美
撮影=平松市聖