Magnificent View #245
クリュニー中世美術館(フランス)

(C) R. Ian Lloyd / Masterfile / amanaimages

 パリのセーヌ川左岸に広がるカルチェラタンを散歩していると、突然、巨大な廃墟が現れる。

 それが、クリュニー中世美術館。崩れかけた石造りの残骸は、もともとローマ時代の共同浴場だったという。15世紀末、この遺跡の中に建てられた修道士の邸宅が、現在では中世の彫刻や工芸品を展示する美術館として利用されているのだ。

 礼拝堂の天井には、フランボワイヤン様式を象徴するとても繊細な細工が施されている。多数のアーチからなるヴォールトからは、当時の流行がヴィヴィッドに伝わってくるだろう。

 収蔵品の充実ぶりも特筆ものだ。絶対に見逃せないのは、15世紀にフランドルで織り上げられた6連のタペストリー『貴婦人と一角獣』。ジョルジュ・サンドが絶賛した巧緻な傑作は、見る者を中世へのタイムトリップに誘ってくれる。

Column

今日の絶景

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2014.06.02(月)