国内外の美食家に注目される「Neighbour by LOUU」

台湾で今、最も注目されているフードコーディネーターのスロー・チェン(陳小曼)さん。ミラノでフードデザインを学び、帰国後には食に関するさまざまな展覧会やイベントを手がけてきた人物です。
2021年には台湾の食材を用いた保存食ブランド「LOUU」を立ち上げ、現在は食品雑貨店「Neighbour by LOUU」も経営しています。

店舗はMRT忠孝新生駅と忠孝復興駅の間に位置し、落ち着いた路地の中にあります。スタイリッシュな店内では、台湾の素材を用いたオイル漬けや酢漬けといった保存食のほか、ユニークなポップコーンやバター、さらにスローさん自身が厳選した調味料や食器が販売されています。
ヨーロッパやネパールなど、旅先で買いつけたものもありますが、メインに扱っているは台湾のものです。

オリジナルのオイル漬けや酢漬けの商品を開発する際には、フードロスを少しでも減らせるよう、通常はあまり出回らない規格外の野菜をあえて使用するよう心がけているそうです。

また、地域創生や町おこしにつながる商品も開発しています。たとえば、台湾北部の北海岸沿いにある金山では、夏になると「蹦火仔」という伝統敵な漁が行われます。これは海上で火を焚き、無数の小魚を引き寄せ、大きな網で捕獲するという独特な方法の漁です。100年以上続く漁法で、新北市の無形文化財にも登録されています。
ここでは、この漁法で獲れた「青鱗魚(サッパ)」をオイル漬けにしたり、残った部位を粉末状にしてポップコーンにまぶしたりしています(2025年4月25日現在、オイル漬けは品切れ中)。

このほか、スローさん自身が普段から愛用している調味料もあります。雲林県のメーカーによる黒豆を用いた醤油「濁水琥珀」や、破布子(イヌジシャ、台湾ではキャベツや魚の蒸しものに用います)など、手に取ってみたくなるものがいろいろ。リパックせずに、従来のパッケージのままで販売しているのもポイントです。

さらに、スローさんはアルコール好きなこともあり、各種ナチュラルワインを取り揃えています。なかには、台湾中部の南投県埔里にワイナリーがある「威石東」のものも。また、スローさんの友人のブランドで、発酵食品で知られる「YANZHI 胭脂食品」の梅酒も人気だそうです。

ここには、スローさんが長年培ってきた人脈や経験、知識を活かした商品が勢揃いしています。商品数はあえて多くせず、その分、ほかでは見つけられないとっておきの商品をセレクトしているとのことです。
彼女ならではのセンスとアイデアが随所にちりばめられた空間。そこに身を置くだけでもワクワクしてくるはず。自分用に、または友人用に、いつもとは違ったスペシャルなお土産を探してみてください。

2025.05.03(土)
文・撮影=片倉真理