
台湾で「イケオジの営業再開」と話題を呼んでいる、無印良品の新広告。注目を集めたのは、久しぶりにメディアに姿を現した台湾出身の俳優・金城武です。
今回は、台湾在住ライターで、CREA WEBの人気連載「片倉真理のときめく台湾土産」でもおなじみの片倉真理さんに、現地のリアルな反応をリポートしてもらいました。
「無印良品」の広告が話題沸騰!
2025年3月28日、中国で「無印良品」の新しいコマーシャルが発表されました。登場したのは、白いTシャツにヘンプ素材の長袖シャツを着用し、爽やかに微笑む金城武。
台湾が誇る国際的なスターですが、実はここ8年くらいは目立った活動をしていません。久しぶりのメディア登場に、台湾、中国、そして日本のファンが色めき立ったことは言うまでもありません。
アジア圏を一世風靡した台湾人スター
台北生まれの金城武は51歳。日本人の父親と台湾人の母親をもち、台湾華語(台湾式中国語)、台湾語、広東語、英語、日本語の5カ国語を流暢に操ります。卓越した語学力を生かし、台湾に留まらず、アジア圏で幅広く活躍してきました。
その名を世に広く知らしめたのは、1994年にヒットした香港映画「恋する惑星」。金城武の役は失恋した刑事。「恋にも賞味期限がある」と、自分の誕生日が賞味期限となっているパイナップルの缶詰を買い溜めするシーンが印象的でした。
日本では1998年の人気ドラマ「神様、もう少しだけ」で主演を務め、一気に知名度を上げます。深田恭子演じる援助交際が原因でHIVに感染した女子高生と恋に落ちる音楽プロデューサーの役でした。

1998年から2001年にかけては日本アジア航空(※)の広告に志村けんと出演。軽妙でユーモラスなやりとりが笑いを誘い、印象に残っている方も少なくないはずです。

しかしながら、仕事をセーブしているのか、作品を吟味しているのか、近年は出演作が減っているのが現実。2017年に香港・中国合作映画「恋するシェフの最強レシピ」が公開されたのを最後に銀幕からは姿を消していました。
仙人と言われるほど神秘的な存在

私生活に関しても神秘のベールに包まれ、どこに暮らしているのか、結婚しているのかどうかさえわからないと言われるほど、謎多き人物として知られています。SNS全盛の現在では珍しい存在と言えるでしょう。
ファンの間でも「隠居して仙人のような暮らしをしているのでは?」と噂されることがあります。
スキャンダルとも無縁であり、クリーンで爽やかなイメージをもつことから、コマーシャルにも度々起用されてきました。
2013年に話題となったのは、台湾の航空会社、エバー航空の広告。台湾東部にある台東縣池上鄉を舞台とし、樹の下でお茶を飲むシーンが注目されました。使用された樹は「金城武の樹」と呼ばれ、聖地巡礼に訪れるファンが後を絶たなかったと言われます。なお、この樹は正式名称を「奉茶樹」と改められていますが、今でも「金城武の樹」と呼ぶ人が少なくありません。
長い間メディアに登場しなくても、ひとたびコマーシャルが放映されれば大きな反響を巻き起こす人物、それが金城武です。今でもアジア圏において絶大な影響力を誇っていることは変わりません。
2025.04.12(土)
文=片倉真理