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わずか2%しか生産されない“元祖コシヒカリ”は「花の木」の名物

 そしてとにかく評判がいいというお米。米どころである新潟県で作られているお米は、いもち病に強い性質を持つコシヒカリブレンド、通称「コシヒカリBL」が主流になっていますが、「御宿 花の木」では改良前のクラシック米を使用。新潟県内でわずか2%しか穫れないという貴重なお米です。

 どこか安心感のある懐かしい味で、そのおいしさは前日食べすぎたり飲みすぎた人もおかわりするほど。

「元祖コシヒカリというか、昔ながらのお味がみなさまに喜ばれているのだと思います。花の木用に山の上で作っていただいていて、昔はお客様からリクエストがあれば販売もしていたのですが、今はごくわずかしか獲れなくなってしまったので、お出しするものを味わっていただけたらと思います」

 佐渡の魅力はなんといっても海産物。島じゅうにお寿司屋さんが立ち並び、都会では考えられないほどの安価で、美味しいお寿司やお刺身をいただくことができます。「御宿 花の木」でも、地元の魚屋さんやカニ屋さんから仕入れた海産物を使用した料理が、後半に続々登場してきます。

「やっぱり佐渡に来ていただいたからには、地元の海産物を召し上がっていただきたいです。毎日その日に仕入れに行くので、新鮮なお味を楽しんでいただけたら。1月、2月はカニが禁猟になるので、代わりにお鍋を提供させていただいています」

 最後に出てきたのは、新潟県の名物でもあるおけさ柿とビオーレ。口に含むととってもジューシーで、締めくくりにちょうど良いほんのりとした甘みとフレッシュさ。

「昔ははっちん柿と呼ばれていたおけさ柿ですが、種がなくてとても食べやすいんですよ。ビオーレは小さなイチヂクで、皮ごと食べられるんです。デザートはいつも季節ごとのデザートをお出しするようにしています」

 ひとつひとつのお料理に渡辺さんの丁寧な心遣いが宿った「御宿 花の木」の秋の食体験はいかがでしたでしょうか。お米、野菜、海産物からデザートまで、佐渡の自然の恵みを堪能できるコースに、お腹も心もすっかり満たされました。

 春夏秋冬、いつ訪れてもその季節の美しさを五感で楽しめるお料理をいただき、ぜひ佐渡ならではの体験を。

御宿 花の木

所在地 新潟県佐渡市宿根木78-1
電話番号 0259-86-2331
部屋数 7室
料金 1泊2食付き2名1室利用時(1名様)13,000円~(3/19まで)
※3月20日以降は15,000円~
チェックイン15:00〜21:00まで/チェックアウト10:00
http://www.sado-hananoki.com/

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2025.02.02(日)
文=齊藤美穂子
写真=佐藤 亘、釜谷洋史