日本各地のアンテナショップで賑わう銀座の街にこの5月31日、新名所が誕生しました。その名も「THE NIIGATA Bit GINZA」。食材はもちろん、カトラリーや器、ワインなど、すべて新潟中から集めたという、新潟よりも新潟を味わえるレストランです。

 8月にはこのレストランの他にも、物産館や移住相談窓口などがオープン。ビル全体がアンテナショップ「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」として生まれ変わります。


上越・中越・下越・佐渡。新潟中を飛びまわって集めた食材&プロダクト

 お店を取り仕切るのは、地元新潟や燕三条で人気のレストラン「Bit」を運営する秋山武士さん。燕三条のプロダクトや新潟食材をPRするため、この10年は新潟と東京ふたつの都市でレストランを展開してきました。

 「THE NIIGATA Bit GINZA」でお目にかかれるのは、秋山さんが10年かけて新潟中をめぐり、発掘してきたものばかり。少しでも時間ができると生産者をまわり、自らの足で味や品質を確かめに行っていたといいます。

 お店のコンセプトは「新潟と共に生きる」。

 新潟のすべてを味わい尽くすことのできるディナーコース(15,000円)をメインに、アラカルト用意。ランチでもコースやセットメニュー、新発田産の思い出たまごとトリュフ、フォアグラを使ったたまごかけごはんなどが楽しめます。

オール新潟にこだわったフルコース

 コースの冒頭を飾るのは、新潟の郷土料理「のっぺ」。もともとイタリアンが専門の秋山さんですが、この料理を作りたくて日本料理店で修行することに。3~4時間かけてひいたおだしで根菜を炊き合わせ、涼しげな秋葉硝子製の器に盛り込みました。

 続いて登場するのは、7品のアミューズです。

「上越には、かんずりという上越の代表的な調味料を使ったシートを、蛤のコンフィにのせました。中越は、魚沼の布海苔を練り込んだ蕎麦を冷製パスタ風に、下越は越後姫といういちごを使ったガスパチョ、そして佐渡には、名産であるズワイガニを使ったフランです」(秋山さん)

 また、秋田杉で作られた大湊文吉商店のプレートには、越後白味噌を使ったマカロンや八海山の酒粕で味付けした生牡蠣などが並んでいます。

 そしてグリーンピースのズッパに添えたのは、24か月熟成の自家製生ハム。

 赤が印象的な器は、佐渡島の玉堂窯元によるもの。佐渡金銀山から産出される酸化鉄を多く含む赤土「無名異(むみょうい)」は島外への持ち出しが禁じられる希少な土。佐渡でしか作ることのできない新潟を代表する焼物です。

2024.06.14(金)
文=吉川愛歩
写真=平松市聖