日本海が育んだ佐渡銀鮭と雪室熟成牛がメインディッシュ
秋山さんがコースのメインディッシュに選んだのは、日本海の荒波で育った佐渡銀鮭と、古くから新潟県に伝わる、雪の中で熟成させた雪室熟成牛です。
「鮭はマリネしてから、低温でしっとりと焼き上げます。上には大葉のフリットをのせて、ボリュームがありながらも爽やかに食べられる一品です。新潟和牛のランプステーキには、山古志の伝統野菜である神楽南蛮を使った赤味噌のソースをのせました」
ペアリングも新潟産。ウェルカムドリンクはクラフトビールで
コース料理には別途ペアリングすることもできます。ウェルカムドリンクは、オリジナルのクラフトビール。エクストラペールエールという、華やかでドライな味わいです。
ペアリングに選ばれたのは、もちろんすべて新潟発のお酒。特に4つの地域ごとに選んだ日本酒は、新潟をより感じられます。
「上越は【繋ぐ】という君の井酒造の純米大吟醸。手で刈って稲架掛け(はさかけ)するという、昔ながらの伝統製法で作った酒米【越神楽】を使った日本酒です。中越は八海山の最高傑作、下越は麒麟山酒造の【玉雫】、佐渡は【万穂】を揃えています。玉雫は、もろみを入れた袋をつるして、雫が自然としたたり落ちるまで待って造るため、年間500本ほどしか造ることができない希少なお酒。万穂は、ちょっとワインのような華やかさがある。それぞれが新潟らしさを体現しているので、是非試してもらいたいです」
その他、ワインやジンジャエール、コーラやコーヒー、ほうじ茶に至るまですべて新潟産。ほうじ茶は、江戸時代初期から続く、冨士美園の村上茶です。
「ワインはプライベートブランドで、白ワインとクリームを使ったソースに合うように樽を利かせたシャルドネを準備いたしました。赤ワインの方は、カベルネソービニオンやカベルネフラン、カベルネドルサをブレンドして造ったものです。しっかりとした重たさもあり、濃厚な赤味噌のソースとお肉にぴったりです」
締めは新潟が誇る「お米」
新潟といえば、やはりお米。おいしいお米がたくさんあって選びきれず、京都の「米料亭 八代目儀兵衛」にセレクトをお願いしたそう。
「今年は、柏崎産の新之助という銘柄を選んでいただきました。大粒で甘みもあり、ふくよかでありながら一粒一粒がしっかり感じられるお米です。こちらを特注の土鍋で炊き上げ、新発田・川瀬養鶏場の思い出たまごを添えてお出ししています」
最後を締めくくるデザートは、新潟のBitでも活躍しているパティシエ特製の5品。村上のほうじ茶で作ったジェラートや、新潟産米粉を使ったカヌレ。こちらは燕三条で作っている「食べられる鉄」をコーティングしているという、新しいスイーツです。
2024.06.14(金)
文=吉川愛歩
写真=平松市聖