3.「短めで」親御さんに反して、明らかに不服そうなお子さん

 住宅エリアの美容室では、冬休み中のお子さまをカットすることも日常的なシーンです。この場面でよくあるのが、「短めで」とオーダーする親御さんに反して、「短すぎるヘアスタイルはイヤ」と明らかに不服そうな表情のお子さんというパターン。「髪を切る回数を減らしたいから」といった親御さんの意向をゴリ押しされると、美容師は断れないものの、困り顔になってしまいます。

 その子の「なりたいヘアスタイル」が親御さんの意向と食い違うことがままあります。美容師としてはふてくされたり泣きっ面の子どもをカットするのは、自分が手を下すことになり、正直心苦しいです。我々もカッコよく、可愛くしてあげたい一心ですので、お子さんの同意を得た上でご来店いただければ幸いです。

4. ブリーチ無しで「暗めの青紫にしたい」は難しい

 Instagramで人気のスタイルは、誰もが手軽にできると思われがち。しかし、「こうしたい」といって写真を見せても、美容師さんから「ブリーチしないと、この色はできません」と言われることがあるかと思います。ヘアカラーは特に、髪の状態や諸々の条件によってお断りすることになりやすい施術です。

 ここ最近は、「褪色していく色も可愛い」「肌が白く見える」と韓国風の暗めの青紫色が一気に広まっています。しかし、この「青紫」は、髪の毛に発色させるのがとても難しい色です。特に「茶髪」との相性が悪いため、「ブリーチ無し」では再現がなかなかできません。

 色彩には「補色」という法則があります。これはある色とある色が混ざると、お互いの特徴を打ち消し合う関係にある色のことを指します。東アジア人の茶髪には「赤、オレンジ、黄色」が多く含まれますが、これらはこの「青紫」を相殺する色に当たります。そのため、ベースが茶髪の場合はこの色にしたくてもキレイに発色させることができません。

 ヘアカラーで「青紫」を作る際には、ブリーチされた髪に色を載せるのが定石です。ブリーチ毛の黄色も青紫との相性は悪いのですが、茶髪の「赤、オレンジ」が取り除かれていることもあり、再現性は格段に向上します。

 美容師から「できない」と言われると、どうしても美容師側に対して「技量が足りない」「やる気がない」といった印象になりやすいです。しかし、「薬剤」「時間」「髪質」等、「できない」理由は様々です。

 現場の美容師はできるだけ期待に応えられるように努力していますので、ご配慮いただければ幸いです。

2024.12.21(土)
文=操作イトウ