この記事の連載
- 一色さゆり「モネ 睡蓮のとき」展訪問【前篇】
- 一色さゆり「モネ 睡蓮のとき」展訪問【後篇】
じつは、10代の頃はあまり好きではなかった
――今回の展覧会の見どころの一つに、楕円形の部屋の壁面に〈睡蓮〉がずらりと並んでいる3章「大装飾画への道」があります。そこをご覧になっての感想をお聞かせください。
あれ、ここは外なの? と一歩足を踏み入れたときに勘違いするくらい、自然光に近い照明になっていて、気持ちがスッとする展示室になっていると思いました。まるで〈睡蓮〉のなかに閉じ込められた、花の香りのする風が吹き抜けてきそうでした。
また、楕円形になった壁は、オランジュリー美術館の有名な〈睡蓮〉の「大装飾画」の展示室に迷いこんだようにも感じますね。
――モネの〈睡蓮〉を今回ご覧になって、新たな発見はございましたか?
とにかくいろんな〈睡蓮〉があるんだな、というのがはじめの率直な感想でしょうか(笑)。あとは、自分自身の変化に気がつかされました。
私は10代の頃、「モネの〈睡蓮〉は、みんなが好きなんだから私は好きじゃない」みたいな天邪鬼だったんです(笑)。でも今は30代後半にさしかかって、受けとる印象が変わったように思います。
素直に「美しいな」と感じますし、じつはその万人に認識される「美しさ」を表現することが、いかに難しいかということも理解できるようになりました。だからモネの凄さに、改めて圧倒されましたね。同時に、自分も年を重ねて丸くなったんだなと思いました(笑)。
※記事中では、シリーズ(モネが描いた絵の総称)としては〈睡蓮〉、個々の題名は二重括弧で括って表記しています。
モネ 睡蓮のとき
会期:2024年10月5日[土]~2025年2月11日[火・祝]
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、10月15日[火]、11月5日[火]、12月28日[土]~2025年1月1日[水・祝]、1月14日[火]
(ただし、10月14日[月・祝]、11月4日[月・休]、2025年1月13日[月・祝]、2月10日[月]、2月11日[火・祝]は開館)
会場:国立西洋美術館[東京・上野公園](東京都台東区上野公園7-7)
展覧会公式サイト:https://www.ntv.co.jp/monet2024/
Instagram:@monet2024_jp
X:@monet2024_jp
モネの宝箱 あの日の睡蓮を探して(文春文庫)
定価 770円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)
2025.01.04(土)
文=一色さゆり